「満開時は壮観でしょうな。町内のお祭り〃があったりして……」
「いえ、静かなんです、住宅地ですから。町内には約730世帯の人が住んでいますが、みなさん美しい季節をかみしめているようですね。花の命は短かくて、といいますが、その後の長い期間が住民にとっては頭が痛いことも多いのですよ。公園緑地事務所からは、まめに除虫作業などしてくれてはいますが‥‥‥」
「よその花は美しく見えるのかもしれません。しかし会長さん、会長さんご自身が花咲爺さんに化けて、ワーッと錦が丘PRに乗りだされたらいかがでしょう、大倉山梅林の向こうをはって。このすばらしい並木をよその人たちにも見せてあげたいですね。なにより50年間咲きつづけたサクラたちへの供養にもなります」
会長さん宅前の樹は特にすばらしい大木でした。向こうに「菊名山蓮勝寺」の屋根が見えます。すばらしい代表的な日本の風景でした。
花ちりて木の間の寺と成りにけり
蕪村
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