編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子

NO.553 2015.04.06 掲載 

    第16号
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第16号「柏(かしわ)
号名 「柏」
サイズ B5判
紙数 76ページ
発行日 昭和58年(1983年)5月1日
頒布方法 定価200円
表紙 イラスト「綱島・鶴見川の大綱橋下の情景」
撮影者 漫画家・井崎一夫(都立大学)
デスクキャップ 菅間映二(会社員 妙蓮寺)
特集
1. 
生涯をこの道に賭ける
  沿線に生きるこの仕事

2.  「われらコロンブス」
  巨人軍グラウンド取材


3. えんせんっ子 編集長インタビュー
 「小・中学生に聞く」
      表紙のことば     漫画家・井崎一夫

 今回は「綱島」です。

綱島はいま、ニュータウン造りが急ピッチです。沿線どの駅にも共通していえることは、駅前周辺の混雑ぶりです。絶好の場所に銀行さまがデンと腰をすえ、ガチャガチャの自転車群。バスが回り込んでくると、人間どもが小さくなって右往左往。旧態依然の駅周辺が、急速に肥満化した交通事情にふりまわされている姿、ふと近ごろの「教育問題」などを連想させる風景です。

地元の悩みも、実はそのへんにありそうだが、「ニュータウン造りは、まず駅前から」と痛感せずにはいられない。「書けば気がすむ」なんていう、なまやさしい事態じゃないやね。

今回は、地元の山火典子さんにご案内いただきました。在住わずか一年足らずというのに、綱島事情に詳しいのなんの。下調べ充分で、ノートいっぱいに書き込まれたメモを拝見して、大感謝いたしました。あとで知ったのですが、山火さんは大学教授夫人、失礼ながら、「さすがァ」と申しあげさせていただきます。

街のあちこちを見て回り、「さて、どこが綱島らしい風景か?」と、ハタと困惑してしまいました。むかし綱島は、「温泉旅館」の栄える街として、あまりにも有名でしたが、今や昔日の面影なし。完成近いニュータウン広場を描いてみても、綱島の風景とは限りません。

思いあぐんで、鶴見川にかかる綱島の大動脈、大綱橋を行ったり来たり。ふと下流に目をやれば、白い小さな点が川面すれすれに一点、二点、三点、……。うれしいじゃありませんか。はるばる東京湾から、カモメ君たちが橋めがけて飛んで来ているのです。

大急ぎで橋を回り、カモメが遊ぶ土手に立つと、綱島街道筋はるかに神明社の一本松、かつて三橋美智也さんが働いていたこともあるというラジウム温泉の大煙突、そして堰堤(えんてい)のあたりは、むかし桃の木がいっぱいだったとか。「桃源」などと古き佳き字句を思いうかべながら、うっとりとスケッチブックを開いていました。

 今回は、カモメ君が表紙の主役です。

 号名「柏」とは…   

柏は、枝や葉に毛が多く、葉の縁は波のようになっている。また幹は、樽材、家具、船舶、シイタケの原木などに使われている。

もちろん、葉は柏餅の材料、緑のカシワの葉にくるまれた白いお餅。ペロリと葉をむいて、パクッ、ムグムグ、ヘヘ。

でも近頃は、柏の葉もビニールなのだ。いったいどこに、ビニールの葉っぱがなる木があるのかい。不思議ではある。

むかしは布団が足りなくて、一枚の布団を二つに折って中に寝ることを“柏餅”と言ったそうな。食べてばかりいないで、たまには餅の気分になってみるかい。
       (妙蓮寺・大橋正己)











            柏の葉と花

葉は新芽が育つまでは、古い葉が落ちない「子孫繁栄」に 通じる「縁起樹」だそうです       撮影:石川佐智子さん



柏の実、ドングリ    撮影:北澤美代子さん

 はばたけ高く『とうよこ沿線』

  第16号“柏”デスクキャップ
   菅間映二(妙蓮寺・会社員)


 5月のさわやかな大空に舞う鯉のぼりのように私の気持ちもいま、舞いあがっています。

 ――あの日からの私の活動――

なぜかって? 思えば3カ月前、かの有名な岩田編集長よりデスクキャップを命ぜられたのです。それまでは四谷→赤坂見附・渋谷経由→自宅の妙蓮寺だったのが、「会社のある四谷→編集室経由の最終便」で帰宅です。家にはツノが2本どころか5本も6本と出ているワイフに迎えられ、我が家の一人息子との会話もないまま、月、月、火、水、木、金、金……。

 本業の方も年度末の忙しさに追われ、身体が二つあったらなと思う毎日。そんな中、原稿が一枚、また一枚と私の手もとに届くと、得も言えぬ充実感と熱き使命感を感じてしまいます。がんばらにゃ〜、がんばらにゃ〜と言い続けてきました。そしてついに第16号“柏”が発刊の運びとなりました。

 あって無きもののごとし、名ばかりのデスクキャップがここまでこられたのも、昼夜を問わず労力おしまず協力くださったスタッフたち、そして心よく取材に、執筆にと応じてくださった各方面の皆様のおかげです。本当にありがとございました。


――ようやく味わえる柏餅――

 
 私たちが精魂込めた新刊“柏”号が一冊でも多く地域の皆様に読んでいただけることを願ってやみません。

 息子の一足遅い5月の節句、柏餅をほおばりながら、もう一度最初からページをめくってじっくり読むことにしましょう。

 『とうよこ沿線』 私の青春 私の生きがい



柏餅を抱え込むカンマさん

絵:中岡奈津美(中2・妙蓮寺)

 さて次回のデスクキャップは、ジャジャ〜ンと、またまた編集室のアイドル美女「トーヨコトマト」久保島さんの登場、どうぞご期待を!!




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