―わが出走馬「トーヨコトマト」は、いま―
「トーヨコトマト」――これは、学生時代の仲間内で現在行なわれている結婚ダービーの、わが出走馬の名前。騎手はもちろん私です。寸評はといえば、「いつもいいところまで行きながら、雑誌『とうよこ沿線』の編集に肩入れが過ぎて、いまだ弟と二人暮らし。トマトのような清潔感が売りもの」……。
最後の御世辞にまどわされてはいられない。前半の部分でゴールの遠いことを指摘されています。しかしこの寸評、当たらずといえども遠からず、なかなか鋭い。
こんな気になるダービーに出走していながら、デスクキャップに命ぜられた久保島騎手につられて、わがトーヨコトマトは、結婚というゴールをめざさずに、ひたすら『とうよこ沿線』13号の完成をめざしてしまった。編集長という強力な調教師に先導され、編集スタッフ並びに読者という暖かい観衆に声援され、幸か不幸かトーヨコトマトは、脇道にもそれず一直線に『とうよこ沿線』ゴールに。
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本来の私のホームグラウンドは栃木県です。櫟の実の丸いドングリで遊んで育ちました。ドングリの帽子の中に野の花を入れて、松葉で取手を作り、小さな花籠を作ったことを思い出します。東横沿線に住んで早や4年目。そのうちの半分以上は、『とうよこ沿線』と共に歩んできたわけです。
栃木県のホームグラウンドが、のんびりと走る練習場だとしたら、『とうよこ沿線』というグラウンドは、さしずめ競技場。すばらしい環境の中で、今日もトーヨコトマトは走り続けています。完走のご褒美は、精魂込めた櫟号をたくさんの人に読んでもらうこと、そして、そろそろ本来のゴールもめざそうかしらと思っているわが出走馬を応援してもらうこと。
―次号は同い年の富士子ちゃん―
さて次号は、いよいよ新年号。イラスト・マンガをふんだんに取り入れた楽しい号にと、イラストレーターの石橋富士子さんがデスクキャップでトライします。何を隠そう石橋さんも私と同い年。結婚ダービーを尻目にがんばってください。新年号は読者参加の、皆さんで作る号になります。どんどん参加しましょう。
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