編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.525 2015.03.17 掲載

        

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   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載“復刻版”

   掲載記事:平成元年7月10日発行本誌No.47  号名「橅
(ぶな)

 

 ゴミ問題を考える


 公害問題については、以前から多くのことが言われ、さまざまな方策が講じられてきて、現在では改善の方向に向かってきている。

 しかし、われわれ生活者にとって最も関連のあるゴミ問題については、今一つ議論されていないようである。

 そこで今回の 「ホットライン」では、このゴミの問題について、東京・川崎・横浜の沿線の自治体における収集方法の比較などにふれながら、今私たちがどのようにゴミと関わってゆき環境の保持に努められるのかについて考える。


   こんなに違う東京・川崎・横浜のゴミ対策(平成元年時)



ご注意!
 上の表は平成元年時の情報です。
 平成27年時では川崎・横浜ともゴミの分別を行うなどゴミ対策は大幅に変わっています。ご注意ください。



 こんなに違う収集方法

 

上の表をご覧いただきたい。実際、この3か地区に住んだことがある人でもない限り、こんなに違いがあるとは知らないのではないだろうか。

例えば、なぜ東京は分別を行ない、川崎・横浜は行なっていないのだろうか。東京都清掃局によれば、不燃物が焼却炉に入らないことで焼却能力と焼却炉の維持を図るとのことである。それに対し、川崎市清掃局に聞いてみると、川崎の場合、不燃物のものでも捨てる場所が少ないという理由で、とりあえず燃やして体積を減らしてから廃棄しているとのこと。これについては横浜の場合も同じである。

また、自治体ごとの考え方の違いというのは、乾電池の回収の場合にも見られる。川崎・横浜は通常のゴミとは別に回収を行なっている。これは電池に含まれる水銀が有害であるということによるものであるが、東京は、以前厚生省が電池中に含まれる水銀は人体に有害といえないとの見解を出したことをもって、不燃物に含めて回収を行なっている。なんとも不思議な話ではないだろうか。

このようなゴミの回収方法の違いに加えて、地域サービスの違いについても表われている。

総じて、川崎の清掃に対する取り組みは、昭和41年からすでに日曜・祝日を除き毎日収集を実施しているという、収集日を一つとってみても先進的だと言えるのではないだろうか。
 しかし、先進的な取り組みがむしろ生活者のゴミへの関心を希薄にしマナーの低下を招いているとの清掃局の指摘も出てきている。難しい問題である。


私たちにできること…ゴミの量を減らす努力

 それでは、私たちには、このゴミ問題について何ができることはないのであろうか。それぞれの清掃局に伺った話を総合すると次のとおりである。

 まず、分別の制度について。私たち生活者がしっかりと日常の生活の中で分別を行なうことにより、効率的なゴミ処理を行うことができるよう協力することである。


 東京都のアンケートによれば、分別を行なっている生活者は、70%~80%に留まっている。また、川崎市の空缶と乾電池の分別については、わずか30%くらいしか協力されていないようである。

 私たち自身が、ちょっとした注意からどれほど清掃業務の円滑化が図られるか肝に銘じたい。
  そして最後に、きわめて明快なことであるが、要はゴミの量を私たちの日々の努力で少しでも減らすことである。


警告板「ここに粗大ゴミを捨ててはいけません」
これを無視して大量の粗大ゴミ

               撮影:江川 久

 事実東京をみても、ゴミの実績量は昭和50年代前半には減少していたのであるが、昭和59年から再び増え始め、現在、1年間に出るゴミの量は約450万トンに達している。すでに埋立て場所も限られており、一日でも長く今の埋立地で廃棄処理できるようにすることが急務のようだ。

そのためにも、まだ使えるものは捨てずに利用することが重要になってくるのである。一時代前の「使い捨て時代」から現在は「モノ余りの時代」となっている。それだけに、私たちの感覚も決してムダ使いをしているという訳ではないのだが、次から次へと出る新製品の渦の中で、私たちの生活は、同時に不要なものを次から次へと再生産しているのである。

 ゴミの量を減らすということは、私たちのライフスタイル自体に関わる大きな問題なのである。

       
文:西野裕久/取材:高橋かすみ
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