編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.519 2015.03.13 掲載
  追跡! 地域問題
  Hotline
19
 地域問題を取材し、お伝えします!           
   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載“復刻版”

   掲載記事:昭和63年5月20日発行本誌No.42  号名「杉」

 

  丸子橋の渋滞から解放!
  ―― 拡幅工事 昭和65年度から ――


 
「朝夕車で綱島街道に来ると、渋滞……。丸子橋で車の流れが一遍にせきとめられてしまいます。将来永久にこんな状態なのでしょうか」(菊名・鈴木)
 編集室に寄せられたこの投書と同じ思いの方は多いのでは…?
 丸子橋は、東京・神奈川を結ぶ産業・経済・生活道路と多様な役割を果たしている。が、橋の周辺道路にまで渋滞が及び、利用者の苦情が絶えないのが現状のようだ。



丸子橋の上。片道歩道で、2車線と狭い。この側道は数年前、整備されたが橋幅そのものは同じ

  丸子橋の架け替えの話だけは前からあったものの、一体どれだけ計画の方は進んでいるのだろうと思っていたところ、その丸子橋を含む、多摩川三橋の拡幅整備計画について新聞数紙で取り上げられていた。
 昭和6349日に開かれた衆議院予算委員会の第8分科会で、越智建設相が「努力する」との積極的な姿勢を示したとのこと。質問にあたった社会党の岩垂寿喜男氏(神奈川2区)に、この計画の詳細を伺った。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜

       計画・管理は東京都で

 橋となると一体どこが作るのか、という疑問がまず湧いてくる。橋の上は、道路でもあるし、しかも丸子橋は東京・川崎間に架けられているのだから、よけいややこしい。

 まず、計画・管理であるが、多摩川に架かる橋は、東京と川崎で一本毎に担当を決めており、丸子橋は東京都が担当となっている。(川崎市は政令指定都市であるため、県ではなく市が対応する)。現在調査を進めている段階であり、具体的に事業化となった場合、建設省が対応することになる。
 事業費は国で約半分、残りを東京と川崎で半分ずつ分担。国と川崎・東京の3者事業となる。


丸子橋整備計画カ所

    橋の幅は車線に

既設の橋は、橋長397M、幅員11M2車線、通行量午前7時からの12時間で約2万台弱。
 これに対し、計画中の橋は、都市計画幅(両側歩道4M 車道幅員17M)で、2車線増の車線。歩道も広く両側にできる。また、仮橋を架けてから旧橋を取り壊し、架設する方向で協議中とのこと。



 

 計画幅では川崎側の道路の拡幅も必要であるが、すでに中原・綱島街道拡幅も用地交渉が進められている。丸子橋を降りた付近も、建物はだいぶ姿を消しているようだ。


   65年度着工、71年度完成

 今後のスケジュールとしては、昭和63年度は比較設計、64年度詳細設計、65年度着工……そして71年度完成を目指している。事業費は60億の予定。

 現在の丸子橋は昭和8年に造られたもの。最初の出願から43年、企画から実に14年という年月を要している。しかも、当時の総工費は53万円であったが、中原町と川崎市の合併と時期が重なり、中原町は合併条件として超過課税を強いられたという。橋一つ造るのに、いかに苦労したかがうかがえる。この苦労を踏みにじることなく、更に発展させるよう、計画を早期に実現させてほしいものだ。

     橋を2階建てに…?

 この丸子橋の拡幅問題に積極的な姿勢を示す、神奈川県議の原正巳氏は、「瀬戸大橋ではないが、東横線も高架にするのだし、この際、橋を2階建てにするなど、もっと美観的な面も考えてはどうか」との意見も出された。



川崎側から見た丸子橋きわ。用地交渉が進み、空き地が多い

 沿線の景色の中でも一番人気のあるのは多摩川。ここで丸子橋は切っても切り離せない存在である。自然を求め集まる人たちの目を楽しませて欲しい。利用者の方々も、苦情だけでなく、こういった意見も出してみてはどうだろうか。

 昭和69年度をメドにした湾岸道路70年度の東京湾横断道路、川崎縦貫道と、次々に計画が進められており、この丸子橋を含む多摩川3橋が拡幅されると、各々が機能を発揮し、かなり交通体系が充実すると予想される。
 多方面から注目されているニュー丸子橋″、今から待ち遠しい!

 取材・文・図:高橋かすみ / 写真:本田芳治





「とうよこ沿線」TOPに戻る 次ページへ
「目次」に戻る