編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.517 2015.03.11 掲載

      

   追跡! 地域問題
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 編集室が責任をもって取材し質問に答えます!           
                                               
 
 
   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載“復刻版”

   掲載記事:昭和62年6月1日発行本誌No.38  号名「楢」

 

  駐輪問題その後
 ― 行政対策は効を奏したか ―


 

  早いもので本会創立7周年、この「ホットライン」のコーナーもお陰さまで、この号が17回目の連載となりました。
 そこで、
過去に取り上げた問題をもう一度調査することにしました。
 今回は未だに地域問題として深刻な状態である「駐輪問題」に、再びスポットを当ててみました。

    駐輪問題の現状

 以前2回にわたり取り上げてから、すでに2年余の歳月が流れたが、昨年10月のものと比較すると上の表のとおりである。

全体としては、やはり増加の傾向にあると言えよう。今回の調査で最も駐輪台数の多い駅は、綱島を抜いた元住吉であった。駐輪場の全くないこの駅の場合、バイクこそ87台減って219台となったものの、自転車は、逆に877台も増加し、バイクも含めて全体で3825台にも膨れあがっている。
 下の元住吉の写真を見てもわかるように、放置自転車によって、全く道路がふさがれて車が通れないところがあるなど、大変深刻な問題になっている。



沿線ワースト1となった元住吉。住吉神社前の公道は、まさに“駐輪場”と化す

 行政の対策−横浜市の場合

 もちろん、行政側も決して手をこまねいていたわけではなく、それぞれの地域において、独自の対策を講じている。まず、最も先進的な取り組みを見せている横浜市の場合をみてみよう。
 
横浜市は昭和6010月「横浜市自転車等の放置防止に関する条例」を実施した。この条例の特徴としては、市が指定した放置禁止区域で放置された自転車等は、保管場所へ移動させられるということである。

現在、横浜市内102駅中、47駅周辺が指定されているが、東横線の沿線では、綱島、大倉山、菊名の3駅周辺が指定されている。
 事実、この3駅では前回調査より駐輪台数全体が大きく減っており、特に綱島では1800台ほど減り、また有料駐輪場が3か所新設されて収容率は88%になった。この数字を見る限りにおいて、横浜市の対策は功を奏していると言えるだろう。
 ただ地域に指定されていない駅周辺については、逆に駐輪台数が増加するなど、まだ対策途上の段階だと言えるだろう。

     行政対策―目黒区の場合

 では、東京側ではどうか。目黒区のケースを調べてみた。 目黒の場合、条例はまだ施行されていないが、区内駅において自転車の登録制を導入しており、東横線においては、都立大学が指定されている。

 横浜市の場合と同様に駅から200m以内に放置された自転車・バイクは撤去されるが、横浜市との大きな違いは、登録の対象を限ったことにある。すなわち、600m以上離れている人のみ登録できるとし、駅から至近距離の人を締め出したところに、住民の自粛に期待した横浜に比べ、よりきびしい規制を行った点で、注目される方式だと言えるだろう。
 横浜市より、一層限りある駐輪場の有効利用を図らねばならない目黒区にとって、これは的確な措置であろう。


    これからの駐輪問題

 以上、2つの地区における対策をみてきたが、これらを総合すると、駐輪場の新設(特に未だに設置されていない駅周辺において)がまず急務だと言わねばなるまい。

 横浜市の場合、駐輪場の裏付けをもってはじめて放置禁止区域が設定される。であるから、逆に日吉のように、禁止区域が指定されていない駅周辺では、さらに問題は深刻度を増しているのである。



日吉駅前の各所に駐輪防止の鉄柵が設置されているが、その効果のほどは?

行政だけではなく、民間サイド・住民サイドからの問題解決の提起こそが、この窮状を救うのではないだろうか。
 綱島では、商店街が中心となってここまで漕ぎつけたのである。いまこそ、真剣に考えなければならない時期だ。


  取材・文:西野裕久/ 取材:関口浩太












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