編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.510 2015.03.07 掲載

        

   追跡! 地域問題
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  編集室が責任をもって取材し質問に答えます!           
                                               
 
 
   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載“復刻版”

   掲載記事:昭和60年2月1日発行本誌No.26  号名「榊」

特集

 

これは酷い! 沿線の駐輪公害(前編)       ―― 数字から見る ――



 「駅付近に放置自転車が多いこと。救急車依頼時に困った」(染谷登美雄さん・日吉駅助役)。

「狭い道路に平気で置いてゆく自転車」(居島達也さん・大倉山・イジマ電機社長」。
 「自転車の放置」(山本玄征さん・妙蓮寺住職)。
 「自転車公害。自宅の駐車場から車を出せなくて困っちゃう」(久保内美知子さん・綱島・久保内病院副院長)。
 「駅前の放置自転車の一掃」(矢口高雄さん・自由が丘・漫画家)。
 「境内の出入口をふさぐ放置自転車」(吉田盈一さん・元住吉・住吉神社宮司)。
 「東白楽駅前に立派な駐輪場(
88台収容)ができたのに、まだ改札口や歩道橋の下に自転車を置く不心得者がいること」(田中広一さん・白楽・町内会会長)。

 以上の声は『とうよこ沿線』で毎号載せている「沿線住民酷勢調査で《いま、一番腹立たしいこと》」の質問に、それぞれ答えていただいたものです。
  沿線の駅のほとんどが、駐輪問題を抱えている、と住民の方々の声を聞いたものです。


  そこで、今回、そして次回と、沿線の地域間題でも最も深刻な駐輪問題について取り上げてみることにしました。
  今回は、まず「実態編」ということで、駅周辺の駐輪がどの位なのか、また現在の状況について、数字で迫ってみることにします。
まず、下の沿線各駅周辺の放置自転車を示したグラフをご覧ください。



作図:伊奈利


 
 綱島は沿線最高、5000

 上のグラフを見ていただくとお分りのように、やはり川崎市内と港北区内で駐輪数が多くなっています。
  特に、綱島の5643台というのは、横浜でも最悪の事態になっています。この綱島には、サンコー裏に駐輪場がありますが、ここに駐輪しているのは531台ですから全体の9.3%、つまりは、約1割程しか収容されていません。

  しかし、道路に置かれている自転車のうち、いわゆる「放置」されているものは「ほとんど無い」と、港北区役所市民課地域振興係の平本由弘さんは言われます。



一日5643台の自転車がひしめく綱島駅前の“名所”

駐輪場に収容されているのは、わずか26

 つまり、今の駐輪問題は、放置されている自転車ではなく「生きている自転車」。毎日の通勤・通学に使っているものが問題となっているわけです。
 それゆえ、さらに一層、駐輪場の設置が必要となるのですが、東京都内でわずか4
.7%の駐輪場内の収容率、川崎市内で19.6%、横浜市内で20%、平均で16.8%と、8割以上が路上に置かれているのが、現状となっています。

    皮肉な大倉山の例

 沿線で、横浜駅に次ぐ駐輪場内収容率の大倉山(68.2%)には、昨年完成した沿線最大の駐輪場(収容台数9446台)があります。しかし、逆に駐輪揚が出来たために、昭和5810月現在、1225台たったのが、1000台も増えてしまったのは、あまりにも皮肉な結果だと言えるでしょう。



 
  

     バイクの増加が顕著

 また、駐輪問題の一つの傾向としては、バイクの増加があげられます。川崎市内のように平地にある駅の場合は、バイクの比率はまだ低い(川崎市内935台、全台数のうち13%)のですが、横浜市内は起伏の多いところに駅があるため、571635.9%。

  さらに50CC以下のファミリ−バイクの普及によって、増加の傾向にあります。自転車と異なり、バイクは駐輪場に止めることを認めるとなると、保管が難しく、そのため地域によっては認めていないところもあるくらいです(綱島)。日吉のように、バイクが自転車を上回る駅もあり、駐輪問題は新たな様相を示しはじめていると言えるでしょう。

 さらに、都立大学や中目黒のように、暗渠上の緑道に駐輪場を設けているところもあります。これは、目黒区の緑化政策上、緑道をつぶすわけにもいかず、また置場が他にないため、規制することもできず、暫定的に認められたケースです。



都立大学駅南口の緑道に整然と並ぶ自転車


   次回は対策編

 いずれにせよ、東横線沿線各駅の駐輪場は絶対的に不足しています。ましてや、港北ニュータウンをはじめ、沿線人口はさらに増加してゆくと思われます。ですから、早急な対応が必要なわけです。次回は今回ふまえた実態から、どのように対処しているのか、また対応してゆくべきかについて考えます。
  取材・文:西野裕久  写真:平山順子

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