編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.507 2015.03.05 掲載

       

  追跡! 地域問題
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 編集室が責任をもって取材し質問に答えます!           
                                               
 
 
   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載“復刻版”

   掲載記事:昭和59年7月1日発行本誌No.23  号名「桐」

 電柱・電話ボックスの貼り紙について


           内海 孝子
(主婦 港北区綱島西1丁目)


 
最近、私の住む町においても、電柱の貼り紙広告が目立つようになりました。それもピンク風俗系のものが糊でべったりと貼られてしまうのです。美観もさることながら、風紀上も問題があると思い、気がつき次第、はがすことにしているのですが、また貼られてしまい、どうしようもありません。



イラスト:石野英夫

 電柱を管理している東京電力はどういう対応をとつているのでしょうか。
 とても自分だけの問
題とは思えませんので、「ホットライン」のスタッフの皆さんに調べていただきたく、ペンをとった次第です。


    編集室から!

 
内海さんのご指摘のとおり、電柱などの貼り紙は、目に余るものがあります。しかし電柱は東京電力だけでなく、電電公社(現NTT)の管轄でもありますので、両社の見解を聞いてきました。
 まず東京電力神奈川支店次長の藤波さんは次のように言っておられました。

 「こうした問題は、相当古くから指摘されていましたが、最近は、チラシを貼る接着剤が進歩したせいで、さらに問題は深刻になってきました。それで東電としてどういう対応をとっているかと申しますと、2カ月から3カ月の割合で、巡回清掃していますし、お客様からの要望があれば重点的に清掃もします。
  ただお客様自らがはがすのはあまりしない方がよろしいかと思います。というのは、たとえば選挙対策のポスターなどは、勝手にはがすと政治的な問題をはらむ恐れがあります。


  また立て看板やある程度お金のかかる亜鉛板などは、財産物件となり私たちの方でも一度撤去を要請を出し、それでも撤去しない場合、一度保管をしてから処分をしているくらいです。というわけであまりお客様自身が積極的にはがさない方がよいと思います。」

 では、電電公社はどうでしょうか。そこで本誌の協賛先である松見電話局の第1営業課係長の三木さんに伺いました。


貼り紙が貼られたボックス

 「当局の場合、電柱においては、ボッボツしているマジックシートをつけて、シールなどが貼られないようにしています。このマジックシートは管内の電柱1629本のうち1100本に取り付けられています。
 また電柱とならんで電話ボックスについても、菊名駅前では2日に1回、妙蓮寺駅前でも3日に1回とこまめに清掃しております。そして当局の職員は見つけ次第はがさせていますので、一般の方がもしビラ等が貼られている場合も、はがされて構わないと考えております。ただし現状では、はがしてもすぐまた貼られてしまうというイタチゴツコであると言えるでしょう。」


 このように両者の見解は、住民が自分の手で美観を維持できるという点で次のようにまとめられます。
 つまり、問題であるいわゆるピンク風俗系の場合は、自分の手ではがしてもいいのではないか、ただ選挙用など政治的なものについては慎重を期すべきであると思うのです。
 ただいずれにせよ、東電の藤波さんも言われていましたが、行政サイドからの規制が求められていると痛感しました。 
      取材:西野裕久(奥沢 大学生)

 

 前号のマンション問題 その後は?


  今回は、前々号,NO.505で取り上げた「日吉の5階建て分譲マンション問題」の展開等について報告したいと思います。

  NO.505の取材の段階では、まだ建築にはとりかかっていませんでしたが、現在(6月上旬)では、内装にとりかかるまでに進行しています。
 そこで、地元でこの一件に携ってこられた船越 卓さんに今年にはいってからの様子を伺ってまいりました。
 「その後の展開としては、まず横浜市が立ち会って業者と地元住民との話し合いが3回行われました。その結果、折り合いがつき、当初の計画では5階建であったのが4階に、22世帯が19世帯に減らされ、また、もし居住者が近隣に迷惑をかけた場合には、建築施主が責任をとるといった内容の確約書をとり結ぶに至りました」。


イラスト:石野英夫

  船越さんが言われるには結局、今までの住環境を守るということが主目的であり、それが一定確約されたことは意義あることだそうです。
 このように見てゆきますと、日吉の場合は住民の意向が汲まれたと考えられます。そこには当然市の関与が大きかったわけで、やはり命令権はなくとも行政サイドの力は大きいのです。

         建築協定とは…

 さて、以上のように日吉の例をあげてみましたが、マンション問題について、現在新しい動きが住民側から提起されています。



 
 世田谷区下馬などですでにとり結ばれた“建築協定”がそれです。
 ではこの建築協定とは何か、世田谷区建築部建築調整課・石山元雄さんに聞いてきました。石山さんによれば、建築協定とは?


 
「建築基準法」の基準よりも厳しい基準を定めて守ることを約束するもので、私的にとり結ばれます。ですから、協定に関与しない人には、何らの強制力を持ちません」。

  ここに先にあげた下馬の例をとるならば、建築協定が結ばれたのは、ワンルームマンションの進出が決定されてからです。これに対して住民側は、これ以上住環境をマンション等に侵害されたくないと考え、4階以上の建物を禁止し、3階以下の共同住宅についても様々の規制をしています。
しかし、石山さんも強調していたように、建築協定とは、あくまで今後建つものに対する規制であって、既に建っているものや、建築中のものには有効でないのです。また同時に自らも協定によって縛られる訳ですから、単に外からの進出に対してだけのものというわけでもありません。

 このように建築協定とは、住民自らが自分をとりまく環境を自らの手で守ってゆくものだと考えられます。下馬の場合
5000平方メートル強の面積が協定区域と、まだほんの一部だけでのものだと言えるでしょう。
 しかし今、私たちに求められていることは、いざマンションが進出を決定してから、初めて立ち上がるのではなく、日頃から心がけておく必要があるということです。

 とくにNO.505であげた日吉の場合、近隣商業地域と第1種住居専用地域が隣接しているわけで、建築基準法では十分な住環境維持は不可能と思われます。それゆえに、地域に合った規制を建築協定をとり結ぶ意義はきわめて強いのです。

 私は
NO.505でも、地域ぐるみでの対策が必要だと結びましたが、ここであげた建築協定もそれを具体化する動きとして、今後注目されてゆくものと思われます。   
           取材:西野裕久(奥沢 大学生)
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