編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.505 2015.03.04 掲載 

        

   追跡! 地域問題
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編集室が責任をもって取材し質問に答えます!           
                                               
 
   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載“復刻版”

   掲載記事:昭和59年1月1日発行本誌No.20  号名「松」

 5階建て分譲マンション 近隣はどうなる?


マンション近隣住民一同
(港北区日吉本町)


 
緑の多い平和な住宅環境を何十年も守りながら住んでいる地域に、突然80坪の土地に5階建22世帯の分譲マンションが建設されたら……。

 東京の不動産業者が旧地主と密契約し、この場所が近隣商業地域であることを利用して、近隣住民へは予め説明することも同意を得ることも全くせず、5階建ての建築確認を取り付けておいて、9月後半になって突然10月初旬から取りかかりますと言い回るとは一体どうしたことでしょう。

 私たち住民は早速市長へ陳情し、市議会へも陳情しました。市の担当者は、建築申請は基準に合っているので確認を下すのは当然と言い、あとは住民と業者の話合いをするようにと両者に指導するだけ。業者と話し合っても一向に結論に達しません。
 この地域は5メートルの道路を挟んで第1種住宅専用地域です。こうした両地域の接点では、一方が5階、片方が2階、しかも両隣はすべて2階という大きな段差ができることは極めて不自然です。しかも隣地とは50センチしか空けず、既存樹木を全部切ってしまうような地域環境や住民を無視した計画を、市当局自体が許可するとは……。
 しかも、下水道も不備なところへ、一挙に22世帯が居住したらどうなることでしょうか。


 
私たちは、業者が私たちの真意を理解して計画変更することを切望し、市当局が更に強力な行政指導を即時実施されることを懇望します。







 
     

      編集室から!

  

 マンションの問題は東横線沿線でも実に多く見られます。ちなみに横浜市で昨年1年間の陳情件数は84件にものぼっているのです。

 さて、この日吉の場合ですが、まず用途地域上の問題ですが、投書でもふれられていた通り、マンションの建つところは近隣商業地域に指定されており、道の反対側は第1種住居専用地域となっていることです。

  近隣商業地域では一部風俗営業、映画館などレジャー施設及び危険物をあつかう工場以外なら、なんでも建てられる地域です。
 問題なのはこの近隣商業地域と閑静な高級住宅地として保護されるべき第
1住専とが隣り合ってしまっていることなのです。本来の用途区分では第1種、第2種住専、住居地域、近隣商業地域という段階になるのです。ところが日吉の場合、住宅地として出発しながらそこに商店街が形成されたところに今回の問題の下地があったといえます。
 横浜市では増加する日照権問題に対処するため市民局に日照相談室を設け、「横浜市日照等指導要綱」で規制していますが、近隣商業地域では高さ15m以上または6階以上でないとこの規制にはかからないのです。
 横浜市市民局市民相談部日照相談室主査・菅原美津雄さんは、
「市は建て主と住民との調整はできても設計変更の命令などは出せない」と言います。

 では、いったい住民はどうすればよいのでしょうか。
 市が建築認可を出している以上、司法の場で争うしか方法がないようです。しかしその場合でも住民の意向が汲まれることはあまりなく、金銭的な和解が多いのです。
 マンション建設は高層建築化の波の中でさらに複雑かつ多岐な問題となってくるでしょう。そのためにも事前に地域ぐるみで土地の使途を話し合い、計画的な街づくりを住民サイドで推し進める必要を痛感します。
       
取材:西野裕久(奥沢 大学生)

 環8の開通は一体いつ頃に?


中島 信代(主婦 大田区田園調布)


  毎号『とうよこ沿線』を楽しく読ませていただいております者です。
 さて、ぜひ御誌のコーナーで調べてほしいのです。実は私の親類が蒲田にあって、たびたび車でまいります。その折どうも気になる事がありまして……。と申しますのは、環状8号線の大田区下丸子のあたりが行き止まりになっている事です。蒲田に行く時はいいのですが、帰りは多摩堤通りを通らねばならず、よく渋滞するのでほんとうに困ってしまいます。これはだいぶ昔からこのような状態が続いており、私ども利用者にとってきわめて不便でございます。

 環状8号線は一体いつ頃開通するのでしょうか。また、どうしてこのように遅れているのでしょうか。
 御誌でお調べいただけたらと、思い切って筆をとりました。



      編集室から!

  このての投書はドライバーでしかわからないと思います。あの整然とした環状8号線をスイスイと走っていると急に行き止まり。ちょっと気分が悪くなります。

 さて、環状8号線は大田区羽田と北区赤羽を結ぶ東京の自動車交通の大動脈です。その大動脈のこの部分の開通はどうなっているのか……・東京都庁道路橋梁課道路企画係大田さんにきいてみました。
 「この地点だけが遅れている理由は、ここにかかる光明寺墓地があるからです。墓地の移転は、法例上の手続きが必要であるうえ、別の土地に埋葬するには檀家(なかには無縁仏になってしまったものもある)と寺院との間の移転の話し合いが必要です」。








 


イラスト:石橋富士子

しかし現在移転の予算措置は完了しており、また寺側との契約も完了してますので昭和60年度完成予定にしております」。

 図を見ていただきたいのですが、田園調布からは最後の信号のところを入れば、1分もたたずに環8の向こう側に出られるようになっています。ただし、ここは大型車が入れないので多摩堤通りを通るより他ありません。また逆の場合は、全車両とも下丸子のところで多摩堤通りに入らねばなりません。



マップ:
伊奈利夫

 私も取材に現地へ行ってみたのですが、うっそうと茂った寺院の一角の墓地からは、双方の環8が見渡たせます。そこにある苔むした数百基の墓からは、無言の抵抗が感じられるのでした。
          取材:西野裕久(奥沢 大学生)

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