慶應大学馬術部の馬場の近くに住む者です。この馬場は歴史が古く、その後家が建ち込み、現在では住宅が馬場を囲むように密集しています。
この馬場のほこり、悪臭をめぐって、私たち住民がもう5、6年間も運動をしているにもかかわらず、いっこうに改善が為されません。
何といっても風の日の砂ぼこりがひどく、そのうえ、馬糞の乾燥した物まで風に舞い上がると思うとゾッとします。住民運動の結果、設置されたスプリンクラーも、学生の怠慢からか、こちらで注意しなければ放水しないような状態。馬場内外の棚も厩舎も老朽化しており、これが悪臭や羽アリの発生の原因でもあります。
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イラスト:石橋富士子 |
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住宅より先に馬場があったということで、強気のようですが、もう少し環境整備を考え、住宅とうまく共存していけるようにする努力が必要だと思います。
編集室から!
慶應大学馬術部と住民との問題は、かなり深刻です。すでに住民運動もしているのに、改善されないため、馬場の移転、環境整備を願って署名運動を始める計画もあるようです。
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横浜市本庁の市公害汚染局大気課にも苦情が持ち込まれ、調査を行なっているようです。大気課の篠原俊夫さんの話。
「粉塵の対策として大学側で行なっていることは、30`リットルの貯水槽と散水栓を設置し、その栓にホースをつないで散水することです。これで粉塵は防げるでしょう。ただ、陳情のあった6月頃は風が強く、馬場の管理人さんの話では『30キロリットルの貯水槽は井戸水にたよっているので、水が溜っていなくて散水できないことがある』のだそうです。
やはり問題としては、施設面よりもその施設の管理・運用の方がうまくいってないのでは…。
その一つの原因としては、馬場の管理をする馬術部員が当然学生であるために、毎年人が入れ替わる。そのために散水作業を怠ってしまうことが起こるのでしょう」。
横浜市では、こういう住民と大学との問題は、むしろ介入しない方がうまくいくと考え、今は大学側と住民とが直接折衝しているとのことでした。
そこで大学側の見解。日吉事務室用度課長によると、
「日吉校舎の敷地の多くが山がちなので、馬場を移転させることは無理であろう」という程度の返答しか聞けません。馬場の直接の管理責任者である三田体育会事務局に問い合わせたところ、
「厩舎については近々、できれば今年度中に新厩舎を着工する予定です。新築の厩舎は鉄骨の2階建てになり、配置も変わります」。
住民側は高い屏や柵の修繕を望んでいるようですが…、とさらに質問をすると、
「それに関してはわかりません」とぞんざいな対応。
大学側の両者とも、このように高姿勢なのは、何もない所に馬場が建ち、その後住民が移住してきたのがトラブルの原因てあり、占有権は慶応側にあるという考えからなのでしょう。
取材:西野裕久(奥沢 大学生)
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