深夜の3時過ぎ。母が突然鼻血を出した。「鼻血くらいで」とタカをくくっていた私は、その異常さを知って動転してしまった。水道の蛇口から水が噴き出すように鼻血が…。鼻を手で押さえると、ノドを流れ落ちる。驚いたことには、眼からも血が吹き出す。
救急車を呼んだ。すると救急隊の人は「診てくれる病院、あるんですか。早く病院と交渉してください」。
私は耳鼻科のある総合病院と交渉したが「当直の耳鼻科の医師がいない」と断られた。つぎに桜木町の夜間急病センターにも電話したが、「担当医師がいない」と断られる。
と、救急隊の人が「すぐ近くに病院があります」と連れて行ってくれたのが救急指定の胃腸病院。専門外のこと、診察してくれるはずがない。また診察の道具もないという。
困り果てた私は、再び先の病院に電話し出血の現状を説明した。
「出血する鼻や口にタオルを当てがっているとタオルは血でびしょ濡れ。そのタオルは絞るほどの量です。このままでは出血多量で死んでしまうのではないでしょうか」
すると、電話を切らずにそのまま待っているように言われました。幸いなことに、鶴見区にあるこの病院の院長は耳鼻科の専門医。就寝中の院長を起こして診察してもらえることになり、救急車で搬送されそのまま入院、流れ出る血が止まりました。
夜間の急患に対応できない「夜間急病センター」とは、一体どうなっているのだろうか。また、救急車を呼んだ場合、こちらが病院と交渉して連れて行ってもらうのか。
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編集室から!
深夜の急病人。どこのご家庭にもありうる切実な問題ですね。病人はどのようにして手当てを受けられるのでしょう。まず救急について横浜市消防局警防部救助課の洞ノ口さんに伺いました。
「横浜には夜間の救急告示病院が60数カ所あります。外科、内科、小児科の患者は救急隊の判断で一番近くの救急病院へ運ばれます。そこでの診察の結果、重病と判断された患者だけが3次病院と言われる横浜市大病院や聖マリアンナ病院へ回されるのです」
横浜では一日200件、年間6万5000件もの救急車の出動があるそうですが、それらを全て初めから大病院へ運ぶことは不可能なのでしょう。
では、鈴木さんご指摘の耳鼻科の急病人はどうなるのでしょう?
「残念ながら現在の救急病院では耳鼻科、眼科を持つ病院が非常に少ないのです。しかし、大病院へ回す前に一応近所の病院へ運ぶのが順序になっていますから、この場合も救急隊の人は『かかりつけの医者がもしあれば交渉して欲しい』という意味で言ったのでしょう。交渉をご家族の方に頼むのは、病状を正確に伝えられ、知り合いの医者の場合、患者の家族のほうが説得力があるからなのです。もちろん交渉が成り立たない場合は3次病院へ運びます」
ということでした。
さて、もう一つのご質問である夜間急病センタ…ですが、こちらは外科以外の全ての科が連日夜間診療してくれます。時間は次のとおりです。
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横浜市夜間急病センター
電話045-212-3535
中区桜木町1丁目1番地 市健康福祉総合センター1・2階
内科・小児科・眼科・耳鼻咽喉科
診療時間 毎日20時〜24時
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今後、耳鼻科・眼科の夜間診療施設が増えることを期待すると共に、普段耳や眼の病気をお持ちの方はかかりつけの病院で夜間にも診療が受けられる状況をつくっておくことが望ましいでしょう。
取材:中本英美(白楽 学生)
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