編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.502 2015.03.03 掲載

        

   追跡! 地域問題
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 編集室が責任をもって取材し質問に答えます!           
                                               
 
 
   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載“復刻版”

   掲載記事:昭和58年7月1日発行本誌No.17  号名「杏」

  どうなっているのか? 夜間の急患対策


    鈴木ひろみ
(主婦 港北区日吉1丁目)


 
深夜の3時過ぎ。母が突然鼻血を出した。「鼻血くらいで」とタカをくくっていた私は、その異常さを知って動転してしまった。水道の蛇口から水が噴き出すように鼻血が…。鼻を手で押さえると、ノドを流れ落ちる。驚いたことには、眼からも血が吹き出す。

 救急車を呼んだ。すると救急隊の人は「診てくれる病院、あるんですか。早く病院と交渉してください」。
 私は耳鼻科のある総合病院と交渉したが「当直の耳鼻科の医師がいない」と断られた。つぎに桜木町の夜間急病センターにも電話したが、「担当医師がいない」と断られる。
 と、救急隊の人が「すぐ近くに病院があります」と連れて行ってくれたのが救急指定の胃腸病院。専門外のこと、診察してくれるはずがない。また診察の道具もないという。

  困り果てた私は、再び先の病院に電話し出血の現状を説明した。
 「出血する鼻や口にタオルを当てがっているとタオルは血でびしょ濡れ。そのタオルは絞るほどの量です。このままでは出血多量で死んでしまうのではないでしょうか」
 すると、電話を切らずにそのまま待っているように言われました。幸いなことに、鶴見区にあるこの病院の院長は耳鼻科の専門医。就寝中の院長を起こして診察してもらえることになり、救急車で搬送されそのまま入院、流れ出る血が止まりました。


 夜間の急患に対応できない「夜間急病センター」とは、一体どうなっているのだろうか。また、救急車を呼んだ場合、こちらが病院と交渉して連れて行ってもらうのか。




  

  編集室から!

 
深夜の急病人。どこのご家庭にもありうる切実な問題ですね。病人はどのようにして手当てを受けられるのでしょう。まず救急について横浜市消防局警防部救助課の洞ノ口さんに伺いました。

「横浜には夜間の救急告示病院が60数カ所あります。外科、内科、小児科の患者は救急隊の判断で一番近くの救急病院へ運ばれます。そこでの診察の結果、重病と判断された患者だけが3次病院と言われる横浜市大病院や聖マリアンナ病院へ回されるのです」

  横浜では一日200件、年間6万5000件もの救急車の出動があるそうですが、それらを全て初めから大病院へ運ぶことは不可能なのでしょう。
 では、鈴木さんご指摘の耳鼻科の急病人はどうなるのでしょう?
 「残念ながら現在の救急病院では耳鼻科、眼科を持つ病院が非常に少ないのです。しかし、大病院へ回す前に一応近所の病院へ運ぶのが順序になっていますから、この場合も救急隊の人は『かかりつけの医者がもしあれば交渉して欲しい』という意味で言ったのでしょう。交渉をご家族の方に頼むのは、病状を正確に伝えられ、知り合いの医者の場合、患者の家族のほうが説得力があるからなのです。もちろん交渉が成り立たない場合は3次病院へ運びます」
 ということでした。

 さて、もう一つのご質問である夜間急病センタ…ですが、こちらは外科以外の全ての科が連日夜間診療してくれます。時間は次のとおりです。


 横浜市夜間急病センター
  電話045-212-3535 
  中区桜木町1丁目1番地 市健康福祉総合センター1・2階

  内科・小児科・眼科・耳鼻咽喉科

  
  診療時間 毎日20時〜24時
 

 今後、耳鼻科・眼科の夜間診療施設が増えることを期待すると共に、普段耳や眼の病気をお持ちの方はかかりつけの病院で夜間にも診療が受けられる状況をつくっておくことが望ましいでしょう。
       取材:中本英美(白楽 学生)


 分かりにくい バスの系統番号


山本茂樹(大学生 練馬区石神井町)


  ときどき、川崎の方へ行くのだが、どうも気になることがある。というのは、バスの系統番号についてなのだが、臨港バスと東急バスにそれぞれ  があって、臨港の方は、元住吉から川崎駅、東急の方が日吉から川崎駅とおのおの違う路線を走るのだ。

  同じ系統番号なのに、どうしてこうなっているのだろうか。地元の人ならわかっているのかもしれないが、私は知り合いにこのような事情を知らずに「に乗ればいい」と言ってしまって、その人をすっかり迷わせてしまった。

 せっかく系統番号を採用しても、このようにわかりにくければ意味がない。今後の両社の対策を伺いたい。


      編集室から!

 
まず下図を見ていただきたい。

  この2本の路線、実は全く違うところを走っているのではなく、日本発条前から越路の間は同じ道を走る。ただ同じ川崎駅行きでも逆方向に行くわけだが…。
 しかし同じ番号で
2つの路線があるのは、たしかにややっこしい。

  そこで東急本社乗合課営業係長・石井久雄さんと川崎鶴見臨港バス営業課・三井明さんに聞いてみた。両社の話を総合すると次のようになる。


 
川崎市内では78年に系統番号がつけられた。その際に、当然川崎市内を走るバス会社各社は相談しあって、番号を割りふったのである。だから、問題の 以外では、違う路線で重複した番号をつけて走っているところはない。ただ、たまたま、 だけが両社間の連絡がうまくいかないまま、それぞれ自社の路線につけてしまったらしい。つまりは偶然の産物だったといえる。


イラスト:石橋富士子

 以上のようないきさつで生まれた であるが、さて今後の対策はというと、両社からとも、あまり強い手応えは得られなかった。というのも、東急によれば、系統番号一つ変えるには、バスの方向幕(全部のバスのを変えなければいけない)系統図、バス停など、しめて3000万円程もかかるということだ。さらに、系統番号は法的にがっちり決められているものではなく、バス会社が自主的につけているという事情もはたらいて、なかなか変えられないのであろう。ただ、このについては、幸い臨港バスと東急バスとの間でも何度か話し合いがもたれている。「至急は変えられないが、変えるという方向で検討してゆく」(東急・石井さん)ということなので、当分は見守るしかないと思う。               取材:西野裕久(奥沢 学生)






 
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