編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.499 2015.02.26 掲載

        

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   初体験! 異国の結婚式           
                                               
 
 

   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載“復刻版”


   掲載記事:平成3年11月15日発行本誌No.55  号名「棉」


    文:小松(現・長尾)ゆかり(最寄駅大岡山)


  数日前のニュースで昨年1年間の結婚式の平均費用が発表されました。結納金その他(新婚旅行費用は除く)諸費用合計が約800万円だったそうです。“成田離婚”なんて言葉が巷を駆け巡る昨今、これだけかけてアッという間に離婚されたらご両親はたまったものではないだろうな、などと余計なことまで考えてしまいます。
 でも結婚式そのものは、私は好きです。幸せいっぱいのカップルを見ているのって、なかなかいいものだと思いませんか? 
 それに、日本に住む私たち女性にとっては披露宴に出席するということは、滅多にないドレスアップのチャンスでもあります。人込みの中で霞むようなことのないように新婦の代表は、せいぜい頑張って着飾って行くわけです。
 とは言え、最近ではすっかり定着したお決まりの一流ホテルでの披露宴。それが若干のアレンジの違いはあっても殆どが似たパターン。出席者としてはいま一つという感がないわけではありません。


 
 台湾で中国人の結婚式に出席

 さて先日、台湾で中国人カップルの結婚式というのに出席する機会に恵まれました。
 新婦は私の台北での中国語の先生(林 老師)のお姉さんの孫。仕事で台北のホテルに到着後、電話した私を林先生は誘ってくださったのですが、今夜と聞いてうろたえました。だって、その日の私はポロシャツに綿のミニスカートという、まるっきり普段着でしたから……。



イラスト:俵 賢一


  服装は平服、席順は家族重視

  私の危惧に彼女は「没 問題(メイ ウエンテイ)」のたった一言。結局、その出立ちで市内の一流ホテルヘ。
  行ってみてびっくり! 出席者の殆どが私よりはいくらかはましという程度の、いわゆる平服。ちょっとおしゃれかな、と思えばそれは新郎新婦のご親族でした。
 意外だったのは列に並ぶ円卓の一方は新郎側、一方は新婦側となっているほかは席の指定がなかったこと。しかも私は先生に導かれるままに日本ならさしずめ来賓席にあたるような前の方の席に座ってしまったのです。 後で知ったのですが、そのテーブルに着いていたのは全員新婦の親戚で、座席指定はないけれど一番前の真ん中にあるテーブルには新郎新婦と仲人さん、2番目からは2列に分かれて両親と兄弟。3番目は祖父母をはじめ親戚一同という決まりがあるのだということでした。
 さすが家族主義できこえた中国! この晴れの日を待っていたはずの家族が、なぜ日本では末席で小さくなっていなくちゃならないのか、かねがね私は不思議に思っていたので、ひたすら感動してしまいました。
 結婚式は出席者全員の前で一人が永遠の誓いをたてるのです。仲人による簡単な二人の紹介の後、誓いの言葉を述べたかなと思ったら会場はいきなり披露宴に突入。 祝宴用豪華な中国料理が次々と運ばれ、新郎新婦と両親が間隔をおいて各テーブルをまわり1回ずつ紹
興酒の乾杯をし、食事が終わると散会。
 新郎新婦が会場の出口に立っていて、男性はお婿さんが持つカゴから煙草を一本、女性はお嫁さんが持ったお盆からキャンディを一粒取っておしまい。

 日本と台湾、どちらにしても一長一短、日本人の目には台湾のパーティはあっさりしすぎているようにも映ります。二つや三つのスピーチがあってもいいし、せめてお色直しの時くらいは注目を浴びたいというのが女心ではないかしら。

 結婚式は二人を祝福しようという気持ちか一番。招く側としても大金をかけてのありきたりなものではなく、もっと皆で楽しめる、そんな披露宴のあり方に目を向けるのもいいんじゃないかな、そんな気がしました。
 皆さんはどう思います?

                   最終回
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