時々仕事の合間にポッカリと暇な時間ができることがあります。国際線から今の会社に移ってからそうした時間は、主に大阪でできるようになりました。日本国内でもあり、なんとなく気心の知れた街という印象も手伝って、時にはどこというあてもなく町中を歩き回ったりします。
人通りを逸れて細い脇道に入り込むと思いもよらない可愛いらしいお店やなんともいえない雰囲気のある喫茶店があったり。
世界中どこにもある中華料理店。和食に比べ安く、味も「まぁまぁ」満足感を満たす
そんな中で頻繁に目につくのが中華料理屋さん。中華料理といっても、本格的なレストランから大盛り380円也のラーメン屋さんまでひっくるめたら、その数のなんと多いこと! 東京でもそんな思いにかられたことがあるので、日本人とはよくよく中華料理の好きな国民なのかと我ながら呆れるほど。
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イラスト:江川 久 |
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でも考えてみると、それは日本に限ったことではないのかもしれません。
最近、国際的な日本食ブームなどといわれ、海外でも和食屋さんを見つけるのはそう難しくなくなってきました。とはいえ、それは大都市に限ったことで、例えばフランスの片田舎で和食屋となれば、見つけ出すのは至難の業。それに和食は相変わらず高価で、しかも値段の割には美味しくないというのが海外で和食に挑戦した人の大方の感想のようです。
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それに比べ、世界中どこへ行っても中華料理店の数の多いことといったら‥…。
しかも概して値段は安く、味のほうも「まぁまぁだった」程度の満足感は得られます。
近頃本場中国〇〇省の味″というキャッチフレーズを売り物にしているお店もありますが、日本では日本風にアレンジされた味。それと同様、各国とも確かにそれぞれのお国柄の表れた若干なりとも異なった味つけに出合います。
今、中国では何年計画かで大掛かりな人口調査を行っているそう。かつて10億といわれた人口が果たして11億か12億か。その他、香港や台湾のような中国人国家、シンガポールやマレーシアのように沢山の華僑を中心とし成り立っている国々、アメリカの各都市でもロサンゼルスのリトル・トーキョーなど足元にも及ばない立派な中国人社会があります。
いつの頃からかなんらかの事情で世界に移り住んで行った中国の人々は、新しい生活の場となったその国の風俗習慣に少しずつ妥協しながら、その一方で自らの伝統を守り続けてきたのでしょう。私たちが各地で味わえる様々な中華料理もそうした伝統の一つです。
ヨーロッパ旅行となると、連日美味しいものに舌鼓を打ちます。でも時差が身体に与える影響は考えている以上に大きく、加えて都市から都市への強行軍…、こってりした異国の味覚に食傷気味になった時、たまらなく恋しいのが日本の昧。
ツアーでは旅行中に和食をセットしているものも少なくないようですが、個人旅行やフリータイムの多いツアーだと大変。和食はとても高いのでお財布と相談和談の結果「ダメ!!」と出たら、ぜひお近くの中華料理店をお試しください。お馴染みの麻婆豆腐や春巻、餃子など思わぬ懐かしさを得られること請け合いです。
え? 明けても暮れても中華料理攻めの東南アジア旅行ではどうしたらいい?
そうですねぇ、そういう向きは思い切って和食屋に足を運ばれては?
食費の安い旅行先では目玉の飛び出る値段でも、物価高騰の日本に帰ってから、改めて領収証を見ればホッとすることもある‥…かもしれない……ような気がします。
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