機内で飲み物を手渡されてかなり強烈な静電気にピリッ! とやられたり、夜間などでは実際に火花が散って驚いたという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?
この静電気、じつは機内の異常な乾燥によって起こるのです。湿気というのは飛行機には大敵で、それで国際線のような長時間のフライトの間には肌はカサカサ、髪はバサバサ、私などはアレルギー体質なので喉と鼻がてきめんに影響を受けてしまいます。
客室温度は常に24度から26度に保たれていますので体感温度はかなり低くなります。
高度1万㍍以上の上空、機外はー50℃
しかも日焼けした肌は通常よりも寒さに敏感になっていますので、軽装のお客様からは上空で気圧が下がるにつれて、「毛布をください」とのお申し込みが次々と出てきます。
が、国内線では一人一枚ずつの毛布を用意しているわけではないので、私たちはやりくりに四苦八苦します。大きなジャンボジェットのすべて毛布が出てしまってもまだ…‥となれば温度を30度近くまで上げるしか方法がありません。
しかしもっと困ったことに、きちんと厚着されてきた飛行機慣れしたお客様からは、温度を上げると苦情がくることになります。
「ちょっと……、暑くて眠れないよ」。
――暑いの寒いのと少しは我慢できないの、まったく……なんてことは万が一、心に思っても顔には出しません。仮にもプロですから…‥。「申し訳ありません。ただいま調節させますので暫くご辛抱をいただけませんか」
にこやかに言いながら、結局のところ多数決です。つまりお申し出の多い方に合わせるわけですが、そうしますと何人かのお客様に不愉快な思いを強いることになります。
「飛行機の中が暑苦しくてねぇ、ロクに眠れなかったよ。ひどいもんだ」
「なんだかウスラ寒くって、おかげでひどい風邪引いちゃったわ」。そんな声が聞こえてきそうです。
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各人が快適な旅をするための工夫を
《全てのお客様に快適なサービスを》これが私たちサービスに携わる者にとって永遠の課題。しかし500人ものお客様に対して理想と現実の一致は難問です。となれば、サービスを受ける側、つまりお客様にもそれなりの工夫をしていただくことが大切になってきます。
単純に考えても高度一万メートル以上、外気温零下50度の中を飛んでいる飛行機の中、そこは寒いのです。寒さは着込めばしのげますが、暑いから裸になれとは言えません。
ウールのセータやカーディガンなら小さく折りたためますのでご用意を。
上着以外のことでは、例えば小荷物。昔と違って最近では、少なくとも日本国内の空港では、カウンターでお預けになった荷物がターンテーブルに出てくるまでに長々と待たされるということは殆どありません。壊れやすい物でもそれなりに大切に扱うシステムもできています。荷物待ちの10分程度を面倒くさいと敬遠されるより、大荷物を足元に置いて窮屈な何時間を過ごされることのほうがずっとつまらないような気がします。
上着1枚、面白い本1冊、貴重品や身の回り品の入った小さなバッグ1個、それにスリッパ1組…‥・以上が、飛行機を利用する際の私のお奨め手荷物メニューです。
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イラスト:石野英夫 |
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ヨーロッパやアメリカ東海岸など長時間の飛行機の旅を選ばれる方が年々増えています。
長ければ長いほど、お客様もいかに快適な楽しい時を過ごせるか、ちょっと工夫してごらんになってください。空の旅は一層魅力的になります。
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