編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.452 2015.02.04  掲載 
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   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載“復刻版”

   掲載記事:昭和59年3月月1日発行本誌No.21 号名「檜」

 伸びる中原地域

             
新ふるさと意識 その

  宮本 義孝

川崎市新総合計画審議会副会長
 覚王山高元寺住職/大正大教授
   川崎市中原区宮内


 中原区は7行政区の中心地域


 東横線の多摩川園駅(現多摩川駅)を過ぎ、多摩川を境として日吉駅手前までの間は、行政区域でいえば川崎市の中原区を通過するわけで、新丸子〜武蔵小杉〜元住吉の3駅しかない、東京と横浜に挟まれた狭隘な沿線地域である。

  しかしこの地域には、これまでの変遷の中で大きな意味機能をもってきたものがあり、また現在も将来へと展望をもちながら重要な内容や役割を演ずるであろう諸計画が企画進行しつつあるのである。

 川崎市は、多摩川河口から上流の京王線近くまでの33キロに及ぶウナギの寝床≠フように狭長な地域であり、中原区は地理的にも7つの行政区の中心地域にあたる。したがって全市にただ一つというような新しい大規模でユニークな施設の建設立地にあてられることが多い。また南武線と東横線の交差する武蔵小杉駅周辺は、その結節機能の形成拠点として商業・業務活動上においてもますます重要性を増している。



イラスト:石橋富士子(横浜)
 これらの進展は、今後行政のワクを越えた新しい連帯としての東横沿線コミュニティーの形成に重要な役割を担うことを期待したい。
 そこで現在、行政中心に計画が進行している諸施設にふれてみよう。


 
わが国初の映像文化センターなど


 現在の「等々力緑地」は、多摩川の旧河川敷で砂利採取場の跡地。そこが昭和24年当時には約8万坪の釣り場「東横池」に変貌し、いま8分の1ほど残って楽しまれている。
 その他の大部分の池は、市の緑地計画地として埋めたてられ、現在「等々力緑地」内には数々の施設が整備されてきている。
 70種以上の樹木を中心とする「ふるさとの森」 ◆日本庭園 ◆国際競技のできるサッカー場 ◆夜間照明付きの硬式野球場とテニスコート7面  ◆陸上競技場、プール  ◆催し物広場 などのスポーツ健康増進の総合的施設として完成しつつある。
 さらにここに注目すべきユニークな文化施設が登場する計画がある。
 
 本年は、川崎市市制60周年を迎えているため、その記念事業として「映像文化センター」「博物館」の建設である。
 
映像文化センターは、フランスのポンピドーセンターを模したわが国では最初のもの。映画・ビデオ・ニューメディアのポスター・アニメなどを収集上映・展示することを企画している。隣接の博物館は本来の機能に加えて郷土資料館、カルチャーセンター的機能をあわせもち、80億円前後の建設費をかけて昭和59年度に着工が予定されている。
 東横沿線に居住する人々が、このような歴史的・文化的に価値あるものや趣味・スポーツ・レクリエーション、文化的催し物や学習の場や機会を通じ、お互いに知りあい、語りあい、理解しあって、その連帯性のうちにはじめて、東横沿線の人々の新しいふるさと、共同意識≠ェ譲成していくのではなかろうか。

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