火事と間違われた懐中電灯
北海道の田舎、そこの小さな宿屋に泊まった時のことですヨ。
真夜中に、
「火事だ〜ッ、火事だ〜ッ! 起きなさ〜い! 起きなさ〜!」
女中さんが大声で怒鳴ってる。
わたワタシ、びっくりして起きた。でも、火事らしい気配がない。すると、女中さんがワタシの部屋に威勢よく入って来て、ワタシの懐中電灯の前で、
「フー、フー、フー」
思いっ切り吹き消している。
寝るとき懐中電燈をつけ、ワタシ、消すのを忘れたんでス。
あの50年前(★この記事掲載から35年後、現在85年前のこと)の北海道のニッポン人、みな懐中電灯のことを知らなかったんですヨ。
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