南仏プロバンスの小さな港町カシス。その港を見下ろす丘の上に友人の別荘があります。一昨年に続いて、そこでバカンスを過ごさせてもらいました。 前回は友人のフランス人夫婦2組とその子供達が一緒でしたが、今回は親しくしている若い日本人夫婦と7歳と4歳になる彼らの子供たちと共に過ごしました。時の流れを止めたいほど楽しい毎日でした。 ただ、去年とは大分味わいの違うバカンスでしたので、家族連れの余暇の過ごし方について考えるきっかけになりました。
この名ドライバーのおかげで、ピカソの家をはじめ、あちこちへ足をのばすことができました。 彼らにプロバンス地方の郷土料理をいくつか作ってみたところ、尻込みせずに味わってくれました。 外国の食べ物も、日本人には苦労のタネでしょう。とくに南仏のものは、オリーブオイルや山羊のチーズ、どのソースにもたくさん入っている香りのきついハーブなど、癖のあるものが多いですから……。 もちろん、彼らも時々は日本から持ってきたラーメンや即席オミオツケでひと息ついていました。旅行通の日本人は、日本食持参で海外へ出かける同胞にイヤな顔をするようですが、私は別に悪いとは思いません。それに、食べ物自体の取っ付きにくさのほかに、人や犬が鼻っ先を通るレストランのテラスなどでは落ち着いて食べられないということもあるでしょう。 こうした些細なことはともかく、この友人一家の熱心さは、日本に来る欧米人にも見習ってほしいほどでした。それに、子供たちもまだ幼いのに立派な民間大使ぶりを発揮していました。
最後に、国際結婚が珍しくなくなってきた今日このごろ、欧米人の女性を妻に持つ男性は、その夫婦の会話を絶やさぬようご注意を! 彼女たちは、お母さん役だけにおさまるタイプではありませんから。 去年の夏は、私は随分多くのことを学びました。とくに、子供に対するときに必要な根気と気配りがどういうものか肌で感じることができました。じつは、この二つが普段の私に一番欠けているのです。 日本人の友人夫婦のおかげで、去年のバカンスは楽しいだけでなく貴重な体験となりました。
理屈っぽいなあと思ったかもしれませんが、それがフランス人の欠点ですからご勘弁願います。 また、事実誤認や見当違いの意見もあったかと思います。そんなことの指摘と合わせて、皆さんのご感想やご意見をお寄せくだされば幸いです。 皆さんがこれからも健やかにお過ごしされることをお祈りします。ごきげんよう――アルメル