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編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子 |
編集:岩田忠利 NO.261 2014.10.01 掲載 |
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沿線の京都シティ・武蔵小杉
文・小林英男(郷土史家。中原区小杉御殿町)
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沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載の“復刻版”
掲載記事:昭和60年6月1日発行本誌No.28 号名「栴」
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「武蔵小杉あたりは、京都の街によく似てる」と言った人がいた。かつて、駅前の銀行に京都から転勤して来られた支店長であった。
私も同感である。
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レストランで町並みを味わう
京都は好きな街で、よく行く。京都に着くとまず駅前の京都タワーに登って、四方の景色を見る。武蔵小杉で、駅前の展望台となれば小杉会館だろう。10階のビアガーデンなら最高だが、6月にならないと始まらない。そこで9階のレストランにはいる。ここからは、駅の東側と北側がよく見える。
電車の通る前から、武蔵小杉は道路・水路が比較的整然としていた。東横線が通ることになり、用地買収、区画整理が進んで、京都のように整然とした街路になった。
駅の東を見ると、東調布信用金庫の看板の右手に新幹線が見える。上りは、赤いテールランプが多摩川を渡り、坂を登り右折して見えなくなる。やがて下り列車のヘッドライトが見えてくる。初めは真正面から来るので走っているようには見えない。坂を下り始めてから、走っているのだと気がつく。以前は、多摩川を渡るのがよく見えたが、今はビルの陰。南武線沿いの道路に出ると、またちょっと見える。時々は横須賀線も見える。丸子橋から来る綱島街道の車は、ひっきりなしに走る。
自分が新幹線に乗っている時は、小杉会館や銀行の看板を見過ごしてしまうことが多い。しかし、こちらからは楽しく見ていられる。晴れた日だと、ここから東京タワーや新宿、池袋の高層ビルも望見できる。
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武蔵小杉の風景、東西南北
多摩川を鴨川と思い、目を北の方に転じる。京都なら金閣寺のある方向、やや右寄りに、西明寺、泉澤寺の瓦屋根が見える。ほかにも、こちらの方角には、屋根は見えないがマンガ寺″として有名な常楽寺、春日神社など、神社・仏閣が多い。
京都には御所、二条城がある。武蔵小杉には将軍家の御殿があった。この御殿が、京都で言えば御所の位置にあたるだろうか。さらに北には、等々力緑地公園。京都なら宝ケ池あたりになるのか。多摩川の向こうには、田園調布から尾山台にかけての高台。これを京都の東山にたとえるのは、ちょっとやりすぎだろうか。
小杉会館のレストランからは、残念ながら南の方向は見えないので、隣の三和銀行の屋上にのぼらせてもらう。南は、京都なら伏見桃山の方向だが、武蔵小杉では工場地帯。川崎大師や鶴見の総持寺の屋根も見えるが、ちょっと遠すぎるか。
伏見稲荷なら、駅のすぐ東にある。その名も″京浜伏見稲荷″。このあたり、京都なら祇園から河原町、先斗町というところ。武蔵小杉でも、この方向は新丸子の三業地であった。戦後まで、芸妓が80人もいたのである。
祇園≠ヘ、武蔵小杉の近くにもある。方角は京都とは正反対の南西となる。その名も木月祇園町=Bもっとも、こちらには芸妓は一人もいない。
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絵:石野英夫(元住吉)
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停まってほしい新幹線
京都に行くには、新幹線が便利だ。「ひかり」もすべて停まる。新横浜にも「ひかり」が50本も停まるようになった。武蔵小杉は相変わらず、新幹線は素通りのままである。百万都市川崎、「こだま」ぐらい停めてもいいではないか。
新幹線と東横線との最短距離は約250b、大きな駅のホームの長さだ。新幹線が停まるようになれば、ますます京都に近くなることであろう。
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