編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
編集:岩田忠利     NO.234 2014.9.19  掲載

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  家族3人、犬18匹、猫1匹

  ――久が原・江口美子さん宅ーー


  沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載の“復刻版”


   掲載記事:平成8年9月20日発行本誌No.66 号名「榴
(ざくろ)

   取材・文・写真:岩田忠利

   


  犬との出合いは小学4年のとき

 少女が1匹の迷い犬と出合ったのは小学校4年生の時だった。

 ごみ屑のように見捨てられていたその犬を保健所へ届けるとジステンパーの末期。 餌を持っては見舞いに通ったある日、係のオジサンが「この犬は、明日からもういないからね」と少女に安楽死を告げた。
 一瞬、それは鼓動が止るような衝撃だった。その直後、「その代わり、この犬をあげるから連れて行きな!」と保健所のオジサン。

 2匹目の犬との出合いは雑種のベルちゃん。利口で忠実な犬で少女が歩いて通う片道30分の小学校まで毎日欠かさず、迎えに来るのだった。




右、江口美子さんが抱く犬が受賞のリボンとトロフィーを見つめるダックウシュンドのハイちゃん。左、お母さんに抱かれるマメちゃん


    捨て犬・虐待された犬を見過ごせない美子さん


 飼い主に見放されたこの2匹の犬との少女時代の出合いが、その後の江口美子さんと母親、照八子さんの、犬への愛情と憐憫の情は格別なものとなった。飼い主に裏切られ捨てられた犬、しかも虐待され痩せ細り、おびえる犬たちを見ると素通りできないのだ。

 久ガ原の自宅の庭に捨てられていた妊娠中の犬は4匹の子犬を産み、みな成犬となって親子5匹。□輪をされ虐待されていた捨て犬のプードル、品川埠頭でフラフラになっていた犬。自分は人間か犬だと思っている猫のクロちゃんも捨て猫。


 「捕獲した捨て犬は保健所では即日処分するか、動物実験用に回すかのどちらかです。人間に馴れた犬は過酷な実験に耐えるから……。一生、飼う気がなかったら飼ってはいけません」
 無責任な飼い主に対し美子さんはこうキッパリと言う。江口家にはこの8匹の犬と猫のほかに11匹の愉快な犬たちが、彼女の部屋を占領して飛び回っている。

 中でも生後5カ月のとき新丸子のペットショプ「パピーランド」で買ったダックスフンドの「ハイちゃん」は、その3カ月後にはすごい出世″。
 神奈川県KC全犬種展のべビー・マッチ・ショーや関東ケネルクラブ全犬展で準優勝に輝いた。陽気でいたずら好きなこの犬が美子さんの言葉には実に柔順だ。

 そのしつけ方の極意をうかがうと、1.体罰を与えない 2.ほめてあげる 3.注意は声の高低で」なのだそうだ。



右端が明るく素直なバグのカブちゃん。中央が品川埠頭に捨てられていたマリちゃん。左端が移動販売ペット店で売れ残った苦労犬、ブン太









  犬が18匹もいる江口家に、ドロボー侵入?!


 江口家の玄関を開けると、18匹の犬たちが一斉に吠えたり、飛びはねたり大歓迎してくれる。

 その家に去年77日の夜7時ころ、泥棒″が侵入し応接間から逃げるという事件があった。
 警察官は「こんなに多くの犬がいて…?」と首をかしげていたようだが、家族全員が帰宅していたために犬たちは安心しきって一声も吠えなかったという。

 これだけの大家族、その世話がタイヘン。
 「朝5時起きで食事させ、用便させて……。旅行もできません」とお母さん。

 不幸な犬や猫の里親探しのボランティアも行っている美子さんは、来年1月からラジオ初のペット番組にパーソナリティーで登場する。ラジオ日本の『久我洋子のペットワールド』(昼1210分〜40分)。江口美子さんが芸名・久我洋子さんとなってリスナーのインタビューや質問に答えるコーナーなど盛りだくさん。ペットフアンの皆さん、「1422」にチューナーを合わせてみて!

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