編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
編集:岩田忠利      NO.231 2014.9.18  掲載 

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 2匹の“ポシェット”犬

――飼い主:港北区師岡町・平間愛さんーー


  沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載の“復刻版”


   掲載記事:平成2年5月10日発行本誌No.50 号名「柾
(まさき)

   取材・文:佐藤由美
(日吉)  写真:岩田忠利
   


    きょうもポシェットを胸に散歩する犬2匹・・・


  大倉山駅にほど近い網島街道の昼下がり。ポシェットを胸につけた犬2匹。その後ろにウォークマンを耳にさっそうと歩くあの女性は……。調教師、それともブリーダー? その素顔がちょっと気になります。さぁ、ウォッチング!



地域のどなたも知っている“ポシェット”犬。ポシェットの中身はビニール袋と雨具。左の柴犬はスコップをくわえて、平間 愛さんと散歩中・・


 お住居は綱島街道の横丁を入った師岡町の一郭。飼い主の平間 愛さんは書道の先生、ご主人森二さんは昭和シェル石油にお勤め、お子さん方はみな独立、今は静かな二人暮らしです。

 来客の私たちの気配をいち早く察知した2匹は、玄関脇の金網越しに威勢よく吠えたてる。

 大きな白い犬が「隼人(はやと)」君。オス4歳、秋田犬、体長1b10a・体重35`の大型犬です。小さい茶色のほうが『エル』君で、オス5歳の柴犬。

「買い物に出るときも、鍵をかけなくても平気なの・・・」
 と愛さんが話すようにとっても頼りになる2匹なのです。














  人間同様、幼犬期のしつけが将来を決める


 
愛さんは子供の頃から大の犬好きで秋田犬は実家の長野にいた頃から飼い、「隼人」でもう3匹目。「子犬はだいたい生後50日目で求め、1週間は同じ布団で抱いて寝るんです。「エル」の場合、貰われて来た日が寒い冬で、年下の「隼人」が暖めてあげました。以来エルは、かれを親のように慕っていますよ」。今では、2匹が一緒でなければ散歩にも出掛けないとか。

 散歩は日に2度。早朝は自転車で6キロ。午後は歩いて3キロ。とくに徒歩は師岡熊野神社の山歩きなど起伏のあるコース。「登り坂は私の先を歩き2匹で私を引っ張ってくれ、下りは逆に後ろから私の歩調に合わせ、いたわるように歩くの」。
 親思いの子を自慢するかのように語る愛さんですが、喜んでばかりいられないことも。

 以前まだ2匹が散歩に慣れない頃、愛さんは自転車で横転し肋骨を骨折するという事故も体験されたという。大型犬を扱うのにはそれなりの心構えが必要だとおっしゃる。
 それは幼犬期のしつけ方≠ェ肝腎。人間に噛みつかないようにするには、わざと愛さんに噛みつかせ、その時こっぴどく叱る。また、言うことを聞かない時は足で蹴ったり…。すると、2度とやらないそうです。
 やはり人間と同じように幼児教育が大切。体を張っての、この愛の調教が将来を決めるのですね。




   月1回のドライブ旅行と散歩コースの選択


 隼人もエルも、すごくお利口です。主人・愛さんの言葉はほとんど理解しているらしく、掛け声ですぐ反応します。月1回のドライブ一泊旅行の時は前日からソワソワし、当日は大変なはしゃぎよう。なのに、車の中では終始寝てばかり。夫妻が「あのドライブインで休もうか」なんて言うと、もっくり起き上がるのです。

 雨の日は散歩コースが違うこともよく知っていて、ちゃんと自分たちでそのコースを先導する。また、拾い食いは絶対しないという行儀の良さにも感心。時には「ポシェットのワンちやん」と寄ってくる小学生たちの顔をペロリとなめるお茶目な一面も。



   飼育法は過保護でなく自然のままに・・・


  餌はパンの耳とドッグフードで、1日1食の少食。おやつは、骨が丈夫になるように煮干し。散歩中に「きれいですね。お風呂に入れるのも大変でしょう?」と道ゆく愛犬家によく訊かれるそうですが、2匹は雨に当たって体を洗うだけ、とか。

 それでも、今まで犬猫病院のお世話になったこともなく、今年も風邪ひとつ引かずに飛び回っているという。
「とにかく過保護でなく、自然に育てることが一番」これが愛さんの飼育法の基本。これは子育て中の私にも非常に考えさせられる問題です。

 月に一度の旅行では自由に山や海を駆け回り、家では主人と毎日お散歩もできる隼人とエル、彼らはいま幸せの絶頂にいます。

 
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