編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
編集:岩田忠利     NO.230 2014.9.17  掲載 

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 オウムのピンキー

  ――鵜の木の渡部さん宅ーー


  沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載の“復刻版”


   掲載記事:平成2年12月15日発行本誌No.52 号名「楡(にれ)」
   
   文・写真:江川 久
(大倉山)

   


   会話や特技の“調教師”は隣のおばあちゃん


  庭先に美しい白いオウム。道行く人が「おはよう」と声をかければ、はきはきした声で「オハヨウ」と応える。ピンキーは街の人気者。

 オハヨウやコンニチハは朝メシ前。「遊びましょ!」と誘うと「アトデ」と返事するほどの芸達者。しかも、こんな愉快なオウムが、商店街に続く道の庭先にいるのだから面白い。



オウムのピンキー 年齢8歳以上


 ご近所の方や東京高校から下校途中の高校生が声をかけると、このピンキー、人見知りすることなくお相手を務める。ピンキーは人間が大好き。でもたまにご機嫌ななめの時には、他人が話しかけても「バイバイ」と言って帰してしまうというから恐れいる。

 そしてピンキーの大の仲良しがお隣にお住まいの成瀬典子さん(62)。ピンキーのレパートリーはおしゃべりに留まらないが、そのほとんどは成瀬さんと遊びながら覚えたもの。成瀬さんが「通りゃんせ」といえば、輪くぐりを、「オープン!」といって差し出せば、くちばしで器用に浅田飴の缶の蓋をあけてみせる。ピンキーの才能を開花させたのは成瀬のおばあちゃんだ。




  好物は梅干しの種


 
ピンキーの飼い主は、鵜の木二丁目にお住まいの渡部英彦さん(63)。奥さんのお話しでは、毎朝6時半に起床し、ピンキーのほかに小型のボタンインコや文鳥などの世話もしてから、ご出動されるという。

 ピンキーは、鵜の木の小鳥屋さんで、8年ほど前に購入。それ以前にもセキセイインコなどを飼育されていたそうだ。

 ピンキーの主食はヒマワリの種。好物は乾燥させた梅干しの種。そこは人気者だけに、ご近所の方も乾燥させた種を差し入れてくれる。夜は玄関脇の止まり木で眠るピンキーだ。

 ピンキーはコバタンというオウムの一種。羽色は白。頭の冠羽はわずかにレモン色を帯びて美しい。興奮すると、この冠羽がバッと広がる。感情の起伏はなかなか激しいとお見受けした。


   ライバル出現!


 そのピンキーに、今年になってライバルが出現した。
 名前はまる子″。ハトよりひと回りも大きなピンキーに較べて、こちらはスズメほどの大きさの小型のボタンインコで、緑色の羽と赤い嘴が愛らしい。ところがこのまる子ちゃん、「逃げ出して、しばらくスズメに交じって遊んでから、また戻って来た」と渡部さんの奥さんが話されるとおりのやんちゃぶり。そして、ブランコからハシゴ乗り、車回しを演じて見せる。周囲に他の小鳥も飼われているが、まる子ちゃんの引立役みたいなもの。

 
取材中、話題がこちらに集中すると、ピンキーが大声で「ギャア」と鳴いたり、成瀬さんの服を噛んだり…・。「やきもちを焼いているんですよ」と言いながら奥さんが「ゴメンナサイは?」とピンキーを叱るとペコリペコリとお辞儀をする。
 なんとなく人間臭いそのしぐさ。別にまる子ちゃんに恨みはないらしい。自分が人の輪の中心にいればピンキーは大満足。人が「万歳」と言って手を挙げれば、ピンキーも一緒になって翼を挙げる。生まれながらのエンターテイナーだ。
 取材後、「バイバイ」とピンキーに一言。もちろん元気な声が返ってきた。



ハトより一回り大きいピンキー。カゴから出しても逃げ出さない。後方の方が成瀬さん



 ボタンインコ、まる子




 
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