編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
編集:岩田忠利       NO.226 2014..9.16  掲載 

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  犬5頭に手長猿

 ――武蔵小山・赤城マリ子さん宅ーー


  沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載の“復刻版”


   掲載記事:昭和63年8月15日発行本誌No.43 号名「枇(びわ)」
   文・写真:一色隆徳
(祐天寺)
   


いたずらっ子、黒手長猿・モンチッチくん







自宅に子犬があと2匹、苦労が絶えない赤城さん。公園のベンチでほっと一息……


 動物好きは岩手での幼児期に身についた赤城さん


 
武蔵小山の商店街にほど近い公園でお散歩中の美女(!)と出会いました。
  そのお名前は赤城マリ子さん、そばにはべっているのはシーズー犬のウランちゃん(写真左)とランちやん(同中)、マルチーズのチャコちゃん。みんな♂。

 「3匹もー諸だとお散歩もー苦労でしょう?」ときけば、「家に帰ればウランとランの子がそれぞれ1匹ずつ、それに黒テナガザルもいるんですよ」と赤城さん。なんと総勢6匹の楽しい「家族」のいるお宅なのです。

 そもそも赤城さんの動物好きは、岩手に住んでいた幼少の時分から。近在の家には、たいてい犬がいて、子供は動物を通じて生きる力や情などを自然の中で教育されたのだそうです。
 そんな赤城さんだから、上京してすぐにマルチーズ(先代チャコ)を手に入れ、その後もペットショップでウランを見つけて気に入ってしまい、その場で注文。
 ところが手違いで妹のランが届けられてしまい、この際……とばかりに2匹とも買うことになってしまったのです。猿のモンチッチくんも同様。知人が都合で飼えなくなり、1週間拝み倒されて引き取ったのです。



   いたずら坊主の手長猿・モンチッチ


 
モンチッチは赤城さん以外の人に対してはおびえて凶暴になるとのことで残念ながら会えませんでした。このモンチッチ、大変ないたずら者で、その程度は半端じゃないそうです。

 ガス栓はいじくる、活け花の花は全部むしってしまう、つな
いであったヒモをほどき、ベランダ(赤城家はマンションの5階)づたいに脱走、近所の公園のベンチでうずくまっているのを捕獲されるまで丸1日放浪するなど……。人間と同じように両手を使うだけに、ひとつ間違えればシャレになりません。
 「徹底的にしかりつけ、躾なければ……」と言うように、赤城さんにとっては苦労の絶えない毎日だそうです。



    でも“犬猿の仲”なんて、とんでもない!


 
とはいえ、彼と犬のお嬢さま方の間では、「犬猿の仲」なんて言葉はどこ吹く風で、人間の子供のように、他愛なく追いかけっこを楽しんだり、ちょっかいを出してみたりもするのですが、もともとシーズーもマルチーズも温厚で人なつっこい犬だけに、極めて平和な「同居生活」を営んでいるようです。

 かつてランが産後体調を崩して、めっきり元気のなくなったときには、ほぼ同時期7匹もの子を産んだウランがランにかわって合計11匹もの子を同時に育て、モンチッチも子犬をあやしたり抱きしめたりしていたそうです。何とも微笑ましい話ではありませんか。

 赤城さんの目下の悩みは、こんな6人(あえて「人」といいたい)の「子供」たちのために旅行すらできないこと。
 でも、彼らの存在は苦労以上の、いっぱいの幸せを贈ってくれるのだそうです。


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