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編集:岩田忠利        NO.225 2014.9.16  掲載 

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 影絵のモデルたち

 ――洗足・影絵画家の藤城清治さん宅ーー


  沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載の“復刻版”


   掲載記事:昭和63年5月20日発行本誌No.42 号名「杉」
   
   文:町田久美子
(大倉山)  写真:天野利弥(大倉山) 
 


影絵画家・藤城清治さん


 



大自然の中にいるかのよう、数々の動物と共存


 
大岡山北口商店街をぬけて環七を渡ると、それまでの賑わいが消え、静かな住宅街が広がる。ここに『暮しの手帖』の影絵画家・藤城清治さん(64)の自宅アトリエ兼影絵劇のけいこ場がある。

 中に入ると様々な動物の鳴き声が聞こえる。檻の中にはフクロウ、オウム、インコ、九官鳥、アライグマ、そして猫。水漕の中にはレッド・テイル・キャットというナマズに似た魚や、赤いガラス細工のようなエビがいる。以前にはサル、ベンガル山猫、スカンク、イタチ、リスなどもいたとのこと。一瞬森の中に入り込んだような錯覚に陥る。

 「これらはすべて絵のモデルになっています。メルヘンという人間と動物の共存の世界を描くためには普段から動物に接しているのが自然ですから」と藤城さん。




     すべて血統書付きの猫が25匹


 中でも長いつき合いなのが猫。現在25匹。アビシニアン、アメリカンショートヘア、ロシアンブルー、シャム、ペルシャ、ヒマラヤン、パーマンと、(後述する1匹を除いて)すべて血統書付き。某デパートの猫展に各地の猫ということにして貸し出したことも。

 束縛を嫌う自由な動物というイメ−ジがあるせいか、檻の中の猫は少々不自然な気がするが、すべて血統書付の純種ゆえ、混血を避けるため。
 デパートの猫展ではストレスが溜って性格が
変わったりもするが、自宅で見知っている人間に至れり尽くせりの世話をしてもらう(動物の世話係がいる)のだから、檻の中もそれほど不都合ではないのかも。

 「私は猫かわいがりのかわいがり方ではない」とおっしゃるが、自宅には放し飼いで10年以上も一緒に暮らしている雑種のキジ猫(『子猫物語』のチャトランのような猫)がいる。彼女は純種を全く受け付けず、食事も区別されている。ひどく緊張して純種のいる部屋には決して入ってこない。藤城さんの「無二の親友」であり、製作の「アシスタント」である。

 まん丸の猫の眼を見でいると、何かに似ていることに気づく。そう、藤城さんの描く人間や動物の眼は、猫の眼がルーツになっているのだ。



スナック菓子も“洗い”グマ









猫は純種、純血を守るため檻の中に

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