編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
編集:岩田忠利      NO.217 2014.9.13  掲載 

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猫・ネコ・ねこ我こそはベスト1!

 ――神奈川区神大寺・小山家の猫3匹ーー


  沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載の“復刻版”


   掲載記事:昭和57年1月1日発行本誌No.9 号名「梅」
   文・写真:小山節子
(神奈川区神大寺)
   

 「猫ってどこが可愛いの?」
 「…‥……」
 これはシラけて黙っているのではない。あまりにもありすぎて何から言おうか、整理に困っているのだ。いや、猫などと、簡単に十把ひとからげにして呼ぶべきではない。

 2匹いれば2匹、3匹なら3匹、全く違う性格と好みと生活様式をもっているのだから。でなければ、何匹もと一緒に暮らす意味がないではないか。

 では我が家の3匹の場合――。



[その1] 自分を人間と思い込むココ (三毛猫 5歳6カ月)


 名前の由来はフランスの代表的なデザイナー、ココ・シャネルから無断借用した。気位が高く、自分を人間と思い込み、他の猫を心底バカにしているらしい。たしかにその神経の細やかさ、頭の良さは猫ばなれしているのだが。

 たとえば、冬、寒いからとストーブの上に手をかざすと、あぶないからやめなさいとばかりにミャーミャー啼く。知らんプリしていると、もう見ていられない、とプイと横を向いてしまい、ついには寝たふりをする。

 「デブ!」「三毛豚!」など肥満に関する悪口をあからさまに投げつけようものならシッポをバタバタ振って怒ること、怒ること。しつこく言っているとそのうち飛びかかってくるのだ。

 逆に「きれいだね」とか「美人だね」とか言われることはご飯の次に大好き。











 [その2] 猫らしくない食事、異常な行動の甘太郎(白黒ブチ 1歳5カ月)


 人間でいうなら20歳過ぎだろうか。近頃売れっ子の、赤塚不二夫家の菊千代と瓜二つだ。
 とにかく甘ったれでベタベタさわられること、さわることが大好き。しつこすぎて「私はネ、アンタのようなしつこい男はダイッキライなんだ!」とどなられることもしばしば。誰がどなるかって? それは……ハイ、今、原稿用紙と格闘している本人ですが。

 食べ物の好みが猫らしくなく、お刺身には見向きもしない。その代わりにチーズ、ハムなどは大好き。猫にも現代っ子ってあるのだろうか。

 時々、発作をおこして狭いうちの中をめちゃくちゃに走り回り、植木鉢をひっくり返し、積み上げた本を倒し、エレクトーンで即興曲を演奏する。それでも足りないと、柱をかけのぼり鴨居の上でサーカスまがいの曲芸。どう考えても普通ではない。それなのに母も姪も、この家の主までが、私にそっくりだというのだ。ドウユウコト?



ねぇ、ココちゃん遊ぼうよォ・・・




 [その3] 野良の自由の味が忘れないのか、チャッコ(茶トラ 年齢不明)


 この秋ごろからベランダに住みついた赤トラのノラ。以前から時々姿を見かけていたのを、甘太郎が持ち前の馴れ馴れしさで友だちになったらしく連れてきたのである。猫ぎらいのココもこのチャッコだけはお気に入りらしく、そばにいても何も言わない。今ではご飯も、眠るのもウチですませるようになった。

 寒くなってから、中へ入れようとしてみたけれど、頑として入ってこない。
 ノラにもプライドがあるのか、それともやはり自由の味が忘れられないのか。まんまるなタヌキのような顔は、なんともいえず愛敬がある。
 
 


写真よりもゴハンを先にしてよ・・・!




   我ら夫婦の結論


 
この3匹が現在のところ我が家の主(あるじ)。2人の人間はもはや多勢に無勢。焼き魚などはかろうじておこぼれをちょうだいするのである。

 そこで我ら夫婦の結論――「今度は絶対、小山家の猫に生まれようネ」。

                   
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