編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
編集:岩田忠利           NO.216 2014.9.13  掲載 

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巨体63`と43`のシープドッグ

    ――自由が丘の黛家ーー


  沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載の“復刻版”


   掲載記事:昭和56年5月1日発行本誌No.5 号名「橘」
   文:鈴木善子
(編集室)  写真:岩田忠利
   



ぼくらの先祖は羊の群れの番犬なんだ


 みなさ〜ん、シープドックって知ってる? えッ知らない? 

 そういえばぼくたちの仲間、日本にあまりいないんだって。ぼく、生まれも育ちもアメリカだけど、ルーツをたどればれっきとした英国紳士、いや、“英国神犬”。羊の群れを守る番犬では超一流なんだ。

 オオカミが群れに近づくと囮(おとり)の役を買ってでる。ぼくたちのフサフサした毛並や色、遠くからは羊に見えるんだよ。うまく引っかかったオオカミの奴、夢中で追ってくるのサ。逃げながら猟犬たちの方へ誘導しちゃう。

 その智恵と勇気が、ぼくの血の中に脈々と流れているんだ。



右が雄ウインク63`、左ゼア雌43`





 ママが病気のときは、ぼくは誰も近寄せずに守るんだ


 自己紹介があとになったけど…。名は「ウインク」、当年8歳。体重63キロ。占い師・銀座ジプシーといわれるパパと、真珠霊感占いの黛 志芳ママの長男(?)。

 ママにいわせると「ウンでもワンでもなくおとなしい」不言実行型。大好きなママが病気で寝てしまうと、がぜん本領発揮。部屋にはだれも近寄らせない。吠えたてて追っぱらっちゃうの。これがぼくにできるたったひとつの親孝行なんだよ。

 なにしろママって底抜けに子ぼんのうで、七五三には「千歳アメ」と神社詣で。誕生日にはバースデーケーキに名前を入れて、ローソクまで立てちゃってサ。
 幸せすぎるぼくにも一つだけ悩みがあるんだ。「とりたてて食いしんぼうではないのに、ヨダレがいっぱい出ること」。ママが困って特大のヨグレ掛けを首にかけるんだ。笑いごとではないよ。適齢期なんだからぼく。



ウインクくんが取材者・鈴木のほっぺに歓迎のチュー・・・




   雌のゼアは、おしゃべり・甘ったれ・長風呂と典型的な女性タイブだ


 
妹のようで恋人のような「ゼア」を紹介しよう。
 彼女は無口のぼくとちがっておしゃべり。興奮するたちですぐわめきたてるけど甘ったれは僕以上。ママや川原俊子お姉さんにオンブされるのが大好きなんだ。体重43キロの彼女をオンブするママたちには僕は同情するよ。

 女性と長風呂もしかり。ぼくはカラスの行水だけど彼女ときたら典型的な長風呂。5人用の大風呂で悠々のんびり。ママが「カンカン梳(と)かしてあげよう!」と言えば喜んで大騒ぎするくせに、お散歩ときくと、カーテンの陰に隠れて、ブルブル震えているんだ。おかしな子。

 ぼくたち、いろんな遊びをするけど、パパと隠れんぼやドライブなんて最高。
 やさしいパパ・ママ・俊子お姉さんに愛されて充実の毎日を送っているぼくたち、幸せだなぁ。


 


川原俊子お姉さんにおんぶされご機嫌のゼア

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