編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
編集:岩田忠利      NO.210 2014.9.11  掲載  

        画像はクリックし拡大してご覧ください。

           

 
    初詣に 川崎中原七福神めぐり
            
     

   沿線住民参加のコミュニティー誌『とうよこ沿線』。好評連載の“復刻版”


   掲載記事:昭和59年17月1日発行本誌No.20 号名「松」
   
取材・文:岩沢珠代(日吉)  写真:一色隆徳(学生 祐天寺)


 地図を片手にお寺巡り。七福神のご利益が得られ、歴史や地域の勉強に役立つ。歩いて回れば、ハイキングコースに。
 寒さに負けず、さっそく出かけましょう。


  恵比寿神の大楽院


 大楽院は、牡丹で有名な奈良県長谷寺の直轄寺院である。長谷寺を訪れる「長谷講」は、すでに本誌第1号で紹介済み。親しみやすいお寺である。

 新丸子駅東口商店街を抜けて、まっすぐ。つき当たりで、水子供養の文字の入った赤い旗が出迎えてくれる。住職の話では、新丸子商店街も近くの大手スーパーに押され気味とか。だから、商店街を守るような位置にあるこの寺に、商売繁盛にご利益のある恵比須神とは、ぴったりである。

中原区上丸子八幡町1522

    044-411-7327

東横線新丸子駅下車徒歩
6



   大黒天の西明寺


 歴史的に意義ある中原街道。その街道沿いにある、徳川家ゆかりの西明寺。
 住職の弟さんは、本誌創刊号の地域座談会に登場。そのほかの記事でも、随所に西明寺の名が登場している。

 こちらの大黒天は、一木(いちぼく)作り。木の上に紙を貼って彩色されている。木食(もくじき)上人の作と伝えられる、鎌倉時代のものである。打ち出の小槌を持ち、米俵を踏んまえ、柔和な顔立ちをしている。

 住職の描かれた絵、波のように掃かれた小砂利、現代的な不動明王も必見。

中原区小杉御殿町1-906

    044-722-4524

東横線新丸子駅下車徒歩15




   毘沙門天の東樹院


 府中へ向かう県道、いわゆる府中街道。宮内交差点を右折して、ほどなく東樹院が現われる。手入れの行き届いた庭。大きなイチョウやキンモクセイが、待っている。

 東樹院の毘沙門天は、天正の昔、この地の豪族によって発見された由緒あるものである。現在は、山門わきの堂の中に、この地を見すえるように立っている。

 毘沙門天は、武神として名高い多聞天のこと。栄光や勇気の象徴として、四天王の一つになっている。

中原区宮内203

    044-766-5546

武蔵小杉駅からバス蔵前下車徒歩1分




       弁財天の宝蔵寺


  宝蔵寺の本尊は、子育て地蔵菩薩。歴史の重みを感じさせる山門に、質素な本堂がよく似合う。

 弁財天は、七福神の中では唯一の女性。音楽・弁才・除災などにご利益があるとされている。彫刻のほかに、子供たちをまわりに配した弁財天の絵もある。その色調や表情などは、キリスト教のマリアや天使のよう。人を惹きつける魅力にあふれている。

 私たちを愛情豊かな気分にさせてくれる一方、10体の石仏閻魔もある。

中原区上小田中387

    044-766-8628

   南武線武蔵新城駅下車徒歩8分




         福禄寿の安養寺


  安養寺の本堂は、ユニークで近代的なコンクリート造り。関東大震災の被害の後、仮堂だったものが生まれかわったのである。近くのグラウンドで遊ぶ子供たちの声が聞こえ、見守るように六地蔵が並んでいる。

 安養寺の福禄寿は、本堂に合わせたかのように、現代的。しかし、衣のひだや顔立ちには、漢詩の風情が漂う。福徳が授かり、人望厚くなれそう。

 また、天井に描かれた色鮮やかな花々も一日中ながめていたいほど見事。

 

中原区上新城1-9--5

   044-777-0706

   南武線武蔵新城駅下車徒歩3分




          寿老神の無量寺


 
山門前の掲示板には、「自分以外は皆師匠」と、墨跡鮮やかな言葉が。山門をくぐれば、ひっそりとした境内に木々のざわめきだけが響く。

 無量寺の本堂は、昭和20年の空襲で焼失。檀家の浄財により、信濃町のお寺を解体して移築されたものである。

 さて、無量寺の正式名称は、瑠璃光山・長寿院がつく。そこで寿老神の登場、というわけである。ご利益は、もちろん長寿。磨かれた本堂の縁側で、日向ぼっこはいかが?

 

中原区中丸子498

    044-411-4184

     南武線平間駅下車徒歩10




               布袋尊の大楽密寺


 ひっきりなしに車が通る県道。しかし、その喧噪が嘘のような静かな境内である。

 布袋尊というのは唐代の僧で、福々しい容貌と太鼓腹で有名である。「家財や衣服を入れた袋を担いで、放浪していた。今でいうヒッピーかな。円満で子供好き、日本でいう良寛さまのような人でしょう」と、日大高校に通っておられた、沿線っ子の住職。

 大楽密寺では、幼稚園を経営。園長はさしずめ弘法大師といったところか。寛容のほかに、学業成就にもご利益がありそう。

中原区木月1492

    044-411-3725

   東横線元住吉駅下車徒歩11


「とうよこ沿線」TOPに戻る 次ページへ
「目次」に戻る