ブーンブーンと唸りをあげている凧を見たことがあるだろうか。あれは凧に弓がつけてあって、風の震動で音を発する。弓をつけると、あげるのも難しくなるが、あの音を聞くと、何とも言えない充実感があるという。
大きな凧になると、人間が浮き上がってしまうほど。体に綱をまきつけて、足腰をふんばる。手は、素手で持つと摩擦でヤケドしてしまう。
凧あげで一番難しいのは、糸目(凧と綱をつなぐ何本もの麻糸)をあわせること。右が強いとか、左が弱いとか、これが合わせられるようになれば一人前。
自分の作った凧が、大空を悠然と舞う。「舞い上がった凧が、強い風の中で、ピタッと止まる。その時が好きだ」、木村さんは空を見上げて言った。
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