敵機から隠した秘密基地 貝山地下壕 (横須賀市浦郷町)
東京湾海堡ファンクラブから「貝山地下壕」の見学案内状が来ました。
今回はNPO法人「アクションおっぱま」と協同で探訪するとかで、専門家が案内に付いてくれます。さっそく、貝山地下壕に行ってきました。
横須賀市は、もともと軍事基地として有名なところで海軍基地や兵器工廠、軍需工場、軍病院があり、大東亜戦争の末期は米軍の攻撃に備えた防空強化のため、1000箇所を超える地下壕が建設されたと言います。
その中でも、追浜周辺には野島公園地下壕、日産工場付近の夏島貝塚地下壕、貝山緑地地下壕、浦郷丘陵の地下壕群が有名です。
追浜駅で戦争遺跡マニアの姪(家内の)と待ち合わせ、家内と3人で見学会に合流しました。追浜駅からバスで15分ほど海に向かうと、貝山緑地に到着します。
横須賀市のリサイクル工場の裏手が貝山緑地で、ここに貝山地下壕があります。
この地下壕を囲むように、北に海軍航空隊本部(現在日産自動車工場)、東に海軍航空隊弊社(予科練)があり、南に海軍航空技術廠がありました。
これらと関係のある施設として貝山、夏島、浦郷に地下壕が造られたと言います。
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貝山地下壕案内図
2011年1月29日版:ずいぶん本格的なパンフレットです
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写真1 貝山地下壕入口
2011年1月29日撮影:普通の防空壕に見えますが…
一般公開されている地下道はB地区で、いよいよ探検です。この後姿は姪ですが、私たちを置き去りにして、もう地下壕に突入しています。
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写真2 貝山地下壕内部
2011年1月29日撮影:ドラム缶が不気味です
外に繋がる階段があり50段はあるのだとか。内部は多少湿っていますが、他の洞窟と違って意外に乾燥しています。地下水位が低いせいでしょうか。
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地下の実験施設かもしれない
隧道は落盤などしないように、構造を考えてか綺麗なアーチ状に掘られています。
写真2のドラム缶は戦時中のものでしようか。ロケット特攻機「桜花」や「秋水」の開発や試験飛行がこの地で開発されていましたので、ここも研究施設だったのかもしれません。
このロケットエンジンの燃料の開発に女性化学者の加藤セチ博士が参画しており、当時の軍国主義の男尊女卑の世界では、考えられない人材登用をしています。
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写真3 貝山地下壕階段
2011年1月29日撮影:山の中腹に出るらしい
何かの部屋のようなところに来ました。今度は、隔壁が煉瓦積みと石積みです。赤い煉瓦が郷愁をそそります。中に入ってみると参謀本部の会議室という感じです。
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写真4 貝山地下壕参謀会議室
2011年1月29日撮影:電線がありました
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写真5 貝山地下壕開口部付近
2011年1月29日撮影:煉瓦が素晴らしい |
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生活臭の漂う地下壕で
写真下のような遺物も残っています。食器や何かの入れ物ですね。毒ガス等が詰められていたようには見えません。そうなら、このメンバー全員アウトです。
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写真6 貝山地下壕残骸
2011年1月29日撮影:生活用品か…
洞窟内は夏冬関係なく、16度くらいと言われていますから意外と快適かもしれません。探検隊の中で一番若い姪に「お姉さん、見てきて!」の声が掛かり、壕の先にある溝を覗きに行きました。そこには朽ち果てた自動車があったそうです。
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写真7 貝山地下壕断崖
2011年1月29日撮影:大きな溝坑の中に自動車が捨てられている
コンクリートで出来た工作物も見えます。洗い場かも知れない。排水はどこに流すのか。田谷の洞窟では地下道の下に更に地下水脈があり、濤濤(とうとう)と水は流れていましたが…。
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写真8 貝山地下壕工作物
2011年1月29日撮影:棺のようにも見えますが…
炊事場跡です。ちゃんとした料理が出来そう。右手の壁に煙突の穴があり、山腹に通じているという話です。
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写真9 貝山地下壕炊事場跡
2011年1月29日撮影:かまどがあって中華料理が出来そうです
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写真10 貝山地下壕出口
2011年1月29日撮影:中から外を見るとホッとします
ともあれ、無事に地下壕から出られました。
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