全国でも珍しい社団法人の町会
田園調布駅の西側に出ると、整然とした街並がある。これは、欧米から帰った財界の重鎮・渋沢栄一が、当時外国で流行し出した「田園都市」を作ろうと、この地に80万平方bの地域を買収して、大正7年に「田園都市株式会社」を設立し、かれの構想に共鳴する人たちだけに土地を分譲したものである。
大正12年に、目黒蒲田電鉄(今の目蒲線)が開通し、「調布」という駅ができた。同年の関東大震災の時、この地の家の被害が全くなかったことが、評判になり、急に人気が高まった。
駅前には、矢野一郎撰書の田園調布の由来″という立派な碑がある。ここの町会は社団法人田園調布会″という全国的にも珍しい町会である。
創設以来の副会長の山口知明さん(80歳)に、何故か尋ねた。造成の時出来た「宝来公園」を、渋沢栄一さんから、町会に寄贈するということになり、法人資格でないと受取れないので、急遽東京都に社団法人の申請をした。町会の役員は名士ばかり。直ちに許可が出て、宝来公園を受取った。その後この公園は東京都に寄付されたが、社団法人だけが残ったというわけだ。
駅前広場の右角に、赤坂のホテルニュージャパン火災のため、またまた時の悪人になった横井英樹の邸がある。山口さんの話では、月500円の町会費は、ちゃんと納めているそうだ。いま、1000名の町会員がいるが、さすがに未納は無いという。
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