NO.46  2014.5.16 掲載
                              文・写真:岩田 忠利
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紀行 日吉駅前交番のツバメたち

巣作り(1)


 最初の巣は、横浜市営地下鉄グリーンライン出入り口の防犯カメラの上に作ってしまいました。
 こんな所では、ツバメの姿ばかりがカメラに写って困る、と駅員のおじさんに叱られ、巣をダンボールで塞がれてしまいました。物件選びを間違えました~


移転先


 移転先を最初の巣から5~6㍍西寄り、西口駅前の交番駐車場の中に決めました。
 50㍍先の東口からは総面積13万坪(43万平方㍍)の広大な慶應日吉キャンパス。ここはエサの昆虫の宝庫、最高の立地条件ですね。


巣作り(2)


 今年もまた、日吉駅前交番をマイホームにしました。材料は湿ったドロと枯れ草を自分たちの唾液に混ぜてこね、1週間ほどで完成させました。場所は写真のように非常ベルの上です。
 交番なら天敵のカラスも、巣を壊す悪い人間どもの警備も万全!
 これほど安全な場所はありませんね。


子育て


 親ツバメはオス・メス交代で2~3分間隔でエサの害虫を運び、ヒナに与えます。
 親が巣に飛んできてヒナにエサを与えるその瞬間の速さ・・・、それにはびっくり! デジカメで何度トライしてもピンボケでした。



羽ばたきの練習


 左端のツバメは親ではなく、巣の外に身を乗り出して羽ばたきの練習中です。
 ツバメは最高飛行速度200㌔、飛びながらエサをとり、水面を飛びながら水を飲み、水浴びします。巣作りの際、地上のドロを取る時以外、滅多に地上に降りません。
 人間が歩けなくなったら人生終末期のようにツバメは飛べなくなったら越冬地に帰れず、死に至ります。


巣立ちと集団ねぐら

  


 巣立ちしたヒナは2週間ほど親の特訓を受け、害虫を捕るワザを身につけ、自立します。
 男性の礼服を「燕尾服」と呼ぶように親ツバメは飛行に適したような細長い体型で尾が長い。巣立ちしたばかりのヒナは尾が短く、すぐ見分けられます。
 巣立ちしたヒナ・ツバメと親ツバメは、河川敷や溜池のアシ原などに集まり、数千羽から数万羽の集団ねぐらをする習性があります。
 秋風が吹き始めるこの頃、越冬地の南国へ旅立つ時期が近いことをこの習性が告げます。


日本へ帰郷


 桜のつぼみが膨らんでくるころ、暖かい東南アジアで越冬したツバメたちは、待ちわびたように日本へやってきます。
 それが不思議なことに、集団ではなく一羽ずつが海面すれすれに飛んで来ます。飛行速度は平均時速50㌔、何千キロもの海上を一羽で渡ってくるのです。
 
 日吉っ子のヒナたちが無事成長し、また来年も日吉に元気に戻って、巣作りに励んでほしいですね。切にそう願っています。


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