NO.6

04. 第一級の食菌、クリフウセンタケ(栗風船茸) 別名:ニセアブラシメジ

幼菌の傘の形は半円形の山形。傘の色は艶のある黄土色か薄茶色
所在地 川崎市中原区井田 井田山
科・属 フウセンタケ科クリフウセン属 食用可否 食用
見どころ  
 キノコの取材を始めて約1カ月になります。最初は、市販のマツタケ・シイタケ・ナメコ・エノキダケ・マイタケくらいの名とその姿形のイメージが頭にある程度でした。それが最近その名前とイメージの覚え方のコツをようやく掴んできたようです。そのコツとは?
 まずキノコの主な科の名前とその特性、その中の代表的なキノコを1種類か2種類を頭でイメージ化できるにします。
 つぎに一日に1科ずつ覚えること。その名前を漢字に置き換えて覚えると、いつまでも記憶に残ります。それも一度に一挙に覚えようとすると、頭の中が錯綜しますので、私は一日1科だけ。

 ここに紹介する「クリフウセンタケ」は、フウセンタケ科。この科は、どんな科か? この科はキノコの科の中でも最大の科で、なんと2100種のキノコがあります。つぎの特徴は、食べたら死に至る猛毒のオレラチンを含むのが34種、やはり猛毒のアマニチンが7種と有毒種も最大の科といわれています。
 この科の代表的なキノコの一つとして「クリフウセンタケ」をイメージ作りします。
 コナラ、ミズナラ林やマツの混じる林内に群生(時に散生)します。一株見つけたら目を凝らして周りを見ると、列をなして生えているそうです。
 傘の裏は幼菌のうちにはクモの巣膜で写真のような丸山形、のち開いて扁平となります。別名、ニセアブラシメジの名の通り、湿ると粘性があり、雨の後などに見つけると傘がテカテカと光って実に美味しそうに見えます。
 食材としては油を使った料理、淡白な料理、どちらでも美味しい。すき焼き、つけ焼き、鉄板焼き、バターいため、土瓶蒸し、貝類とのぬた、三杯酢、雑炊、味噌汁と、何でも良い一級食菌です。
 

幼菌時のヒダは、クモの巣のような膜に覆われています。柄は白く、やや下膨れです
 
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.19
01. 5種あるナラタケの中の、ワタゲナラタケ(綿毛楢茸)

足の踏み場もないほど群生していた総称ナラタケの中の「ワタゲナラタケ。大は傘径7センチ、高さ13センチなども

ワタゲナラタケの群生
2012.11.16 目黒自然教育園
石川佐智子撮影
所在地 川崎市中原区井田 井田山
科・属 キシメジ科ナラタケ属 食用可否 食用
見どころ
 ナラタケは古くから食用として親しまれてきたキノコでしたが、最近中毒症例の報告や特徴の区分が明らかとなりました。で、これまで全体を「ナラタケ」と呼んできたものを、次のように細かく5分類するようになりました。
 ナラタケ(狭義)。キツブナラタケ。ワタゲナラタケ。オニナラタケ。ヤチナラタケ。
 5ページNO.5に掲載のナラタケは、傘径2〜4センチの「キツブナラタケ(黄粒楢茸)」です。ここに掲載のキノコは、傘の表面に綿毛があり、大きさも前者よりも大きい4センチ〜8センチの中型キノコ、ワタゲナラタケです。

倒木に群生。乾くと傘の表面が白っぽくなります。傘に綿毛があるワタゲナラタケ

ヒダの色は傘と同色の薄茶色。柄にはツバがあります
  
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.22
09. サルノコシカケ科では珍しい、傘の裏がヒダ状の、カイガラタケ(貝殻茸)

貝殻にそっくり
所在地 つくば市天久保4-1-1 筑波実験植物園
科・属 サルノコシカケ科カイガラタケ属 食用可否 食不可 薬用
見どころ  
 薬用キノコの仲間で大衆的な面ではトップクラス。その名前のとおりカイガラに似ています。どこにでも普通に見られるキノコです。
 夏〜冬に広葉樹や針葉樹の枯れ木に発生します。傘の径3〜10センチ、厚さ1センチ前後、半円形、貝殻状の同心紋があり、粗い短毛が密生。傘うらはヒダが粗く、白色または黄白色。後にネズミ色になります。他の属は管孔ですが、カイガラタケはヒダ状です。    

粗傘の裏にヒダがあります

なかなか壮観で
担当者 石川佐智子 撮影日 2012.10.24
05. 庭園や路傍の腐植質の多い地上に生える、スッポンタケ

先端の暗緑色の部分が臭い匂いを発する「グレバ」、その下の部分が柄です

上の画像は乾燥したもので、これ(下の画像)が本来のスッポンタケの姿。暗緑色の「グレバ」は胞子の集まり。糞のような匂いで ハエなどを誘ってハエの力で胞子を運ぶという仕組みです
   都筑中央公園  2012.11.18
   右の3点も石川佐智子撮影
所在地 横浜市港北区樽町 鶴見川沿いの土手
科・属 スッポン科スッポン属 食用可否 幼菌は食可
見どころ  
 お使いの帰り道、鶴見川の土手を歩いていましたら、キノコの図鑑で見たことのあるスッポンタケを偶然見かけました。根元から折れていましたが、土を掘り大事に家に持ち帰りました。臭いが相当臭さかったです。
 スッポンタケは木屑を敷いた道端に毎年生えてきます。 キノコといっても、シイタケみたいに傘を開くものばかりではありません。スッポンタケは、地べたからスクッと立ち上がり、傘をひらきません。 穂先の黒いところがネバネバしていて、いわゆる胞子になる部分なのですが、ちょうど猫の糞のような厭な匂いがします。   (大田孝子)

 私が見るスッポンタケの柄は発砲スチロールのように真っ白ですが、写真の色は本来の色ですか、それとも時間の経過で変色したのですか? 
 スッポンに似ているので、この名ですが、幼菌は白くて卵型。鶏卵よりは二周りほど大きく、ブヨブヨしています。先端の暗緑色の部分は「グレバ」という胞子の集まりで、ここが糞のような匂いを発します。臭さのあまり、「くそたれキノコ」の別名もあります。
 でも美味しい食材です。悪臭を放つグレバを洗い流し、ゆがいて水に晒したら中華風の美味しいスープの材料になります。横浜中華街で「このスープ、とっても美味しいわ!」と大田さんが絶賛したのは、これかも、ね。               (岩田忠利)

鶏卵のような形の幼菌。
食べられます

左の幼菌の断面

地中深く根を張っているスップンタケの柄
担当者 大田孝子 撮影日 2012.10.24
06. 傘裏は管孔ではなくヒダ状である、チャカイガラタケ(茶貝殻茸)

傘は貝殻細工に使えそうな色合いの美しい模様です
所在地 秦野市寺山 道沿いの林
科・属 サルノコシカケ科(タコウキン科)
チャミダレアミタケ属
食用可否 食不適
見どころ  
 山道の林の中で、転がっていた枯れ木に生えている、美しい貝殻模様のキノコを見つけました。
 夏〜秋に広葉樹の切り株や、倒木、枯れ木に重なりあって群生します。見た目は「カワラタケ」に似ていますが、カワラタケの傘裏は管孔で、「チャカイガラタケ」はヒダが放射状に並んでいます。また同じようなヒダの「カイガラタケ」は、名前にカイガラタケとありますが、同属ではありません。
 傘は半円形で扁平。3〜8センチ位の大きさで、厚みは5ミリ前後です。傘の表面は暗紫褐色、青色、褐色、紫褐色などの色合いの年輪状模様です。肉は皮質で柄はありません。食用には不適ですが、毒はないようです。

若いときはきれいな白色の放射状のヒダですが、古くなるにつれ茶色を帯びます
担当者 北澤美代子 撮影日 2012.10.22
03. 傘を広げた姿がマツタケに似ている、ショウゲンジ(正玄(or源)寺)
 
傘径9センチの成菌で、中央がやや窪み、やや反り返り始めました
所在地 川崎市中原区井田 井田山
科・属 フウセンタケ科ショウゲンジ属 食用可否 食用
見どころ  
 山の頂上にクロマツ、コナラが林立する日の当る落ち葉の下からマツタケにソックリなキノコが出ていました。調べると、秋、いろんな林内、とくに松林に多く発生するとあります。
 傘は黄土色ないし明るい茶色。直径7〜12センチ。ヒダは、やや疎。傘の色よりも薄い。柄は、白、あるいはごく淡い茶色。
 キノコ狩りの好対象の食用キノコ。傘が開きかけの幼菌の姿を称して「コムソウ」「ボウズタケ」「コモッカブリ」などの名で、また飛騨では太鼓のバチににているのでそのまま「太鼓のバチ」と呼び、広く親しまれています。「ショウゲンジ」の名前の由来は、「正玄(or
源)寺」という、どこのお寺か分からない所の住職がこのキノコが好きでその味を広めたとの言い伝えから。
 味にはコクはありませんが、シャキシャキした歯ごたえ、よく出しを吸うキノコなので、鍋物、すき焼きなど、さまざまな料理に生かすことができる、雑キノコの代表種でもあります。

柄は白く、1.2センチと太い

持ち帰って撮影すると、ヒダが白から薄茶色に変色
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.19

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10. 表面に尖った錘状のイボが密生する、シロオニタケ(白鬼茸)
所在地 つくば市天久保4-1-1 筑波実験植物園
科・属 テングタケ科テングタケ属 食用可否 有毒
見どころ  夏から秋にかけて、おもにブナ科あるいはマツ科の樹下に生えます。傘は半球形から開いてほとんど平らになり、径5〜30センチほどになりますが、私が見たのは半球形。まだ幼菌なのでしょう。
 径は7センチ、柄の長さは8センチくらいで、可愛らしく毒を含んでいるように見えませんが…。家の中に飾っておきたいくらい愛嬌があります。成菌になると白色ですが老熟したものでは、僅かに黄色みを帯びることがあります。柄は長さ8〜13センチくらいに達し、もっとも太い部分の径は1〜4センチ程度、下方に向かって大きくふくれ、ボーリングのビン状みたいな形です。表面に尖った錘状のイボが密生し、白色、条線はありません。このイボは脱落しやすく、成菌になるまでの間に雨で流れ落ちてしまうことがあります。
 最大の特徴はその白さと全体を覆う白いトゲ状のツボの破片「白鬼茸」。シロオニタケはトゲトゲの姿がなかなか愛らしい大型のキノコです。
担当者 石川佐智子 撮影日 2012.10.24

2012.10.22〜 掲載10種

2012.10.2 開設

08. 悪臭を放つ、カニノツメ(蟹爪)

このグレバから悪臭を放ちます
所在地 つくば市天久保4-1-1 筑波実験植物園
科・属 アカカゴタケ科カニノツメ属  食用可否 食不可
見どころ  初夏〜秋、各林内の地上に群生します。秋に観察できるなかなか珍しいキノコだそうです。キノコは傘を欠き、向かい合って伸びる2本の托と,白色のつぼとで構成されたカニの鋏状をなします。成熟した子実体は全体の高さは2〜6センチ。幼菌は卵型で白色。その後卵が割れるように腕が伸びてきます。赤橙色〜橙黄色ないし暗赤朱色ですが、基部に向かって淡色となります。胞子を含む粘液状のグレバは濃褐色で腕の内側にへばり付いています。このグレバは悪臭を放ちます。
 隙間が狭いと、まるでカニの爪のように見えるのがこの和名の由来です。
担当者 石川佐智子 撮影日 2012.10.24
02. 微生物を摂取する動物的性質と胞子で殖える植物的性質を持つ、変形菌

樹皮の間に生えていましたのでキノコとは分りませんでした
所在地 横浜市港北区岸根町 725−1 岸根公園
科・属 変形菌ススホコリ属 食用可否 食不可
見どころ  このキノコ名の正式名は、「変形菌ススホコリ(煤埃)属の一種、粘着性キノコ」です。
 まさかこの白い物体がキノコとは分りませんでした。一応、撮影して帰宅して画像を会長に見ていただきましたら、キノコとのこと。会長からアドバイスをいただき図鑑で調べました。モミジバフウの樹皮の間に挟まるように生えていました。樹皮に挟まれていましたので、細長く5センチくらいの大きさでした。菌類(カビ・キノコの仲間)と藻類が深い共生関係になり、あたかも1種類の生物のように暮らしているそうです。このキノコのそばには、たくさんのコケが生えていました。そのコケと共存しているのですね。  
担当者 石川佐智子 撮影日 2012.10.22
キノコは初心者です。名前を間違っているかも知れません。
ご存じの先輩の皆様、誤りをメールで教えてください。

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07. ボールみたいな、ホコリタケ(埃茸) 別名:キツネノチャブクロ(狐茶袋)

ずんぐりしたコケシみたいです

肉は白ですが、熟すとカニミソのような色に変わります。その後、中央に穴が開き、胞子の粉を噴出します 
右の群生も2012.10.31 都筑ふれあいの丘
所在地 つくば市天久保4-1-1 筑波実験植物園
科・属 ホコリタケ科ホコリタケ属 食用可否 幼菌のみ食可
見どころ  先日、筑波実験植物園で「きのこ展」がありましたので、行ってきました。会場には、ずらりと植物園で採取したキノコが机上に並べてあり、写真撮影、匂いを嗅ぐ、手で触るのは良い。が、園内の植物は採取禁止で写真撮影だけはOK。講師の先生が最初30分くらいキノコについてのお話。その後、植物園へ。4ヵ所くらいまわり解散。
 初夏〜秋、各林内の地上に群生します。 頭部と柄とで構成されていますが、両者の境界はしばしば不明瞭です。頭部はほぼ球形で、普通は径5〜8センチ程度、白色〜クリーム色を呈し、初めは黒褐色・円錐状の細かい鱗片を密布します。次第に汚褐色〜灰褐色に変わります。頭部の内部組織は、成熟するにつれて次第に黄変しながら古綿状の塊となります。柄は倒円錐状をなし、表面は頭部とほぼ同色でざらつき、内部は丈夫なスポンジ状で腐りにくく、子実体が成熟して胞子を分散させてしまった後も長く残ります。
 キノコが成熟すると茶褐色から灰褐色に変色し、頂部に孔ががあいて、そこから胞子が飛び出します。表面には初め、トゲがついていますが、やがて脱落してしまいます。

2〜3センチの球が、おしくらマンジュウをしているようです
担当者 石川佐智子 撮影日 2012.10.24