NO.2

2012.10.2 開設

2012.10.6〜 掲載10種

01 3日連続で出合った純白のきのこ、オオイチョウタケ(大銀杏茸)

傘もヒデも柄もまっ白なオオイチョウタケ
所在地 横浜市鶴見区獅子ヶ谷の山道
科・属 キシメジ科オオイチョウタケ属 食用可否 食用
見どころ
 きょうで3日連続、森林浴と運動不足解消を兼ね、森の急斜面を上り下りしては1〜2時間のキノコ狩り。真っ白いこのオオイチョウタケに出合ったのは、3日連続です。しかも、このキノコを一本見つけると、大概周りに仲間がいます。私は初めて出合ったキノコですが、実際は山や森だけでなく、竹薮や神社や公園などにも生える身近なキノコだそうです。
 
 傘もヒダも柄も白く、コン棒状で柄の中はしっかり詰まっています。インターネットで、このオオイチョウを検索したところ、「猛毒」と書いてありました。ところが、私の手元の図鑑の著者はペンション経営者で、繁忙期以外はグラウンドの芝生管理のアルバイトをしているそうです。芝生の中にこのオオイチョウタケがよく群生していて、昼食の味噌汁担当のオバチャンは、このキノコを味噌汁や煮込みウドンの中にしょっちゅう入れので、食傷気味なのか、あまり好きではないというようなことを著者は書いています。
 「猛毒」と書いた人は、何を証拠にその旨を表現したのでしょう?

手前に1本、左に2本。オオイチョウタケは1本見つけると、必ず周囲に仲間がいます

落ち葉がこんもり盛り上がっているのを発見。払いのけてみると直径12センチのオオイチョウタケでした
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.5
10 初訪問の森で30分歩いて最初に出合った、ザラエノハラタケ

    傾斜地にしっかり根を張るザラエノハラタケ。
傘の直径7センチ、ヒダは密、ツバがある柄とともに白。根にはツボがあり、球根状です
所在地 横浜市鶴見区獅子ヶ谷 森の山道
科・属 ハラタケ科ハラタケ属 食用可否 食用。人により胃痛を起こす
見どころ

傘はコンパスで描いたような円形。薄いページュ色に中心部に淡い赤紫色の円を描く。傘全体に黒ゴマのような小さな粒を散りばめています
 初めて訪れた獅子ヶ谷の森は、朽ちた倒木が多く、いかにもキノコがたくさん出ていそうな環境。大収穫を期待しながらワクワク気分で遊歩道を歩きました。それも落ち葉の上に目を凝らしながら歩けど歩けど、キノコらしきものが見当たらない。30分ほどで「この森、期待はずれだ〜、帰ろうか」そう断念しかけたとき目の前にこのキノコが忽然と現れました。救いの神のようにさえ思えたものでした。
 夏から秋にかけて日本と北アメリカ西部の針葉樹林に発生するキノコで落葉を分解する働きをします。傘の表面は水酸化カリ液で緑変するのが特徴です。
 名前の「ザラエノ」はフランス語のsalade du porcからとか。食用菌と言われていますが、人によっては強い胃痛を起こす場合があるそうです。
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.5
08. 傘にやわらかいトゲ状の突起が見られる、ダイダイガサ(橙笠)

直径4センチ、傘には線くず状からイボ状の橙黄色の鱗片が多数ついています
所在地 横浜市港北区新吉田町 第三京浜入り口近くの山道
科・属 キシメジ科 ダイダイガサ属 食用可否 無毒だが食用不可
見どころ
 山道をキノコの撮影に歩いているとブナの林に黄色い色が目に留まりました。橙色のキノコと黄色いキノコが並んでいました。美しいキノコです。調べてみるとダイダイガサでした。
 梅雨時から初秋にかけて広葉樹の倒木や落枝上に発生し、キノコ採りの最盛期よりもはるかに早い時期に発生するため、あまり話題にのぼることも少ないそうです。本来は熱帯、亜熱帯地域に広く分布する茸で、日本での分布も小笠原諸島や関東地方以西だけだといわれています。傘は始め半球形からまんじゅう形で後には平らに開きます。色は橙黄色で、線くず状からイボ状の橙黄色の鱗片が多数ついています。この鱗片はとれやすく、ヒダは白色で、柄に上生から直生しています。柄は傘とほぼ同色で、根もとはふくらみ、傘と同様の鱗片におおわれています。

ブナの林の中で並んでいる姿は目を惹きます
 

ヒダは白色、柄は傘とほぼ同色で、根元はふくらんでいます。傘と同様の鱗片におおわれています
担当者 八城幸子 撮影日 2012.10.8
04 外観も感触も美味しいパンのような、ノウタケ(脳茸)

傘の肉はふっくらとしてまるでパンのよう
所在地 横浜市港北区新吉田町 第3京浜入り口近くの山道
科・属 ホコリタケ科orキツネノジャブクロ科ノウタケ属 食用可否 食用可
見どころ
 夏〜秋頃に林下の地上に発生します。倒卵形の形で高さ3〜7センチ、直径3〜6センチで頭部は人の脳を思わせる形をしていて、色は茶褐色です。成熟すると表皮がはがれ落ち、内部から胞子と弾糸が現れます。柄は植木鉢のように上に広がり、頭部に続きます。頭部が崩れても柄は後まで残ります。
 幼菌のうちはパンのようなふっくらとした外見ですが、老菌になるにつれ上部にシワができ、それが脳に似てることから名が付きました。肉は白く、若いものは食べられますが、大きくなったものは食用に適しません。味らしい味はなく、お麩のような食感だそうです。見つけて掘り起こしてその奇妙な形に驚きました。つぶすとパンのような、スポンジのような感触で、無臭、これでもキノコかと思いました。

ノウタケの幼菌です。成菌とは異なり表面に脳状のシワがありません

高さ8センチ・直径5.5センチ(大)、高さ5センチ・直径3センチ(小)です
 
担当者 八城幸子 撮影日 2012.10.5
02 柄が地中深く入っていてツルタケより大型、オオツルタケ(大鶴茸)

森の中のオオツルタケ。掘り採ってみると意外に大きいものでした
所在地 横浜市鶴見区獅子ヶ谷 森の山道
科・属 テングタケ科、テングタケ属 食用可否 毒?
見どころ
 田園調布で出合ったツルタケより一回り大型で、背丈が11センチ。傘の模様も似ていますが、こちらのほうが灰色が濃く、その面積も大きい。
 生長すれば平らに開き、表面は灰色〜灰褐色、長い放射状の溝線があります。ヒダは白色。柄は先でやや細まり、ツバは無く、基部に白色膜質、さや状のツボがあります。柄が深く地中に入っていて、掘り上げてみると意外に長いのに驚きました。夏〜秋、広葉樹林内に発生します。

高さ11センチ、左のキノコはツバがあるように見えますが、採ってみると、ツバはありません。柄の形は球根状

傘の色は中心部から外周への灰色のグラデーションで、条線があります
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.6

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05 ハツタケの仲間で成菌の傘が黒くなる、クロハツ(黒初)

1ヵ所に5本も生えています。古くなるにつれ傘の色が淡褐色から徐々に黒くなり、ヒダが反り返ってきます。この中で“最長老”は左から2番目。傘の直径7センチ
所在地 横浜市鶴見区獅子ヶ谷 森の山道
科・属 ベニタケ科ベニタケ属 食用可否 食不可
見どころ
 ハツタケは味が良く、松尾芭蕉の俳句にも登場するほど昔から人気がありました。「初茸」はキノコの先陣を切って生えるためこの名前が付きました。ハツタケの仲間で生長すると傘が写真のように黒くなることから「クロハツ」を名乗るようになりました。
 森の中の平坦な道沿いに何やら真っ黒い物が……。よく見ると、それはグロテスクな格好の下の写真のキノコでした。傘の色は黒く、ヒダが粗く、極端に反り返り、深い皿のようです。その皿の中に小石や泥が入っています。雨が降ると皿に水がたまり、この上に別のキノコ、ヤグラタケ(櫓茸)が
生えるのだそうです。柄はハツタケのように太くて短い。この仲間は柄を縦に裂こうとしてもボロボロッと壊れてしまいます。このクロハツは、見るからに“コワ(怖)もて”ですが、やはり毒があるそうです。

左のキノコから数メートル先に生えていた“長老”

柄はどれも太くて短い
 
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.8
09 江戸時代はバボツ(馬勃)とも呼ばれた、オニフスベ(鬼燻、鬼瘤)

ゴルフボール大、直径4センチほどです。傘、つば、柄もなく、もう数週間たっていたら、白く巨大な塊になっていたでしょう
所在地 横浜市港北区新吉田町 第三京浜入り口近くの山道
科・属 ハラタケ科ノウタケ属 食用可否 食用可
見どころ
 別名はヤブダマ(薮玉)、ヤブタマゴ、キツネノヘダマ、テングノヘダマ、ホコリダケなどたくさんあります。上記のダイダイガサと同じ場所で見つけました。始めはゴルフボールが落ちていると思い、気にも留めませんでしたが、キノコだと分かり、驚きました。
 直径直径60センチを超える物もあるそうで、地面に置かれたように生育するその姿は、バレーボールのようでもあり、頭蓋骨のようでもあるため、驚かれることもしばしばあるようです。
 日本特産で夏から秋、雑木林や草地、竹薮や庭、公園などで土の中の腐食物を分解して育ち、地上に発生してからは急成長します。私が見つけたものは、直径4センチほどで、まだまだ生まれたばかりだったようです。成熟してからは、アンモニア臭がきつく、食べることはできませんが、幼菌のうちは肉は真っ白で弾力があり、肉質は、はんぺんに似ていてバター焼きなどにすると美味そうです。

切ってみると中心は白く綿のようで、弾力があります。茶色のかたまりは、将来胞子と弾糸になります

ツルリと皮がむけ、その下は水分が多いゴムのようで、弾力があります
 
担当者 八城幸子 撮影日 2012.10.8
03 柄が紐のように強靭、傘の色が茶褐色の狐色の、キツネタケ(狐茸)

森の中のキツネタケ
所在地 横浜市鶴見区獅子ヶ谷 森の山道
科・属 キシメジ科 キツネタケ属 食用可否 食用可
見どころ
 キツネタケは夏から秋、いろんな樹林に出ます。その特徴は、まず傘の色が茶褐色のキツネ色、柄の色も同色であること、次に柄は細いですが、手で引っ張っても紐のように強く、千切れないこと。傘は厚みが無く薄いのですが、他のキノコは少しの衝撃で壊れてしまうのに対し、このキノコは強く、なかなか壊れません。
 キツネタケは食べられますが、キツネタケの仲間は一般的にはあまり食用にされないそうです。 
 三日前のことです。森の中を薮蚊に刺されながら1時間半ほど探し歩いた収穫、20本ほどをタッパーに入れ、中で振動で動いて傘が壊れないようにティッシューを丸めて詰め、大事に持ち帰りました。意外な大収穫にルンルン気分の私は、居合わせた女性にタッパーの蓋を開け、見せたのが悲劇の始まり……。その後、彼女はパソコンに夢中になり、横に置いたタッパーのことなどすっかり忘れ、なぜか、威勢よく手でタッパーを払いのけたようです。「キャ〜!」彼女の悲鳴とともにテーブルから落ちただけでなく、1メートルも先に飛ばされたのです。一瞬のうちに、どのキノコも粉々……。採取したキノコを他人に見せるのは、撮影後にすべきだったとつくづく反省しています。
 この程度の衝撃なら、キツネタケだったらきっと無事でしたでしょうに。

菌根菌のキシメジ科のキツネタケは、綿毛状の白色菌糸をまとい、それでしっかり根を張り、編集室に帰っても大量の落ち葉や木くず、腐葉土を離しません

傘の直径5センチ。ヒダの色は白っぽく、柄の色は傘と同じ茶色、地中に入っていた根は黒ずんでいます
 
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.6

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06 柄の長さが16センチで白色。スマートな、コテングタケ(小天狗茸)

根を掘り起こして柄の長さを測ると16センチ
所在地 横浜市鶴見区獅子ヶ谷 森の山道
科・属 テングタケ科テングタケ属 食用可否 食不可
見どころ
 夏から秋、針葉樹林に発生します。傘は8センチ、薄茶色に白い付着物があります。ヒダは白。柄には膜のようなツバがあり、長さが16センチで今まで私が採取したものの中では最長です。柄の形は球根状、丸くふくらんでいます。「美しいバラにはトゲがある」と言いますが、スマートなこの綺麗なキノコには毒があります。

傘の直径8センチ、白い付着物があります
 

もう一本のにも白い付着物が
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.5
07 この可愛い茸も身を守るため猛毒があります、ニガクリタケ(苦栗茸)

森の道端にあちこち数十本ずつ束生しています
所在地 横浜市鶴見区獅子ヶ谷 森の山道
科・属 モエギタケ科クリタケ属 食用可否
見どころ
 森の中の道端に可愛い茶褐色のキノコが、10本ずつほど身を寄せあって、5〜6カ所の落ち葉の中に出ていました。その名は「ニガクリタケ」と呼ぶのだそうです。まだ若い幼菌で、傘は1〜2センチ、鮮やかな黄色い柄も大きくても4センチほど。若いうちは写真のように傘は半円球ですが、成菌になると、ほぼ平らに開き、表面は湿り気を帯び、やや吸水性、硫黄色。中央部はやや黄褐色。柄の長さは5〜12センチになります。
 このキノコの特徴は梅雨時から秋遅くまで枯れ幹や切り株、枯れた竹に束生すること、肉が黄色で凄く苦いことです。同属のクリタケは美味しい食材ですが、このニガクリタケは死亡事故があるほどの猛毒です。ご注意を!

まるで家族のようです。それぞれ大きさが違います
 

それそれのグループが根元では
一株のように繋がっています
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.8
キノコは初心者です。名前を間違っているかも知れません。
ご存じの先輩の皆様、誤りをメールで教えてください。

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