04 味と風味はエノキタケに似ている、モリノカレバタケ(森の枯葉茸)の一種

2メートル四方ほどに密集して生えていた
モリノカレバタケの一種
所在地 大田区田園調布1丁目 多摩川台公園
科・属 キシメジ科 モリノカレバタケ属
モリノカレバタケの一種
食用可否 食用可
見どころ

柄は細く、根元で結束しています
 公園内の松の木を枝おろししたようでその小枝と落ち葉を寄せ集めた場所に密集して生えていました。モリノカレバタケ属は春から秋にかけて森に群生、世界的に分布する小型のキノコです。キノコの採れない季節でも生え、食用として喜ばれます。
 モリノカレバタケ属は、ホウライタケ属、クヌギタケ属などとともに、林内の落ち葉を分解する重要なキノコです。
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.2
09 傘がほぼ半円形で年輪のような模様がある、カワラタケ(瓦茸)

一晩に5センチ〜6センチ伸びるカワラタケ
所在地 横浜市港北区樽町 鶴見川岸のグラウンド
科・属 サルノコシカケ科カワラタケ属
(旧タマチョレイタケ科)
食用可否 食用不可 薬用可
見どころ
 カワラタケは サルノコシカケ科の木材腐朽菌の一つで、針葉樹、広葉樹を問わず生育します。明け方の気温が13度cくらいの春、秋にもっとも多くみうけられます。 一晩に5センチ〜6センチも生育し、黒色と灰色の層状になるので、わきあがる雲に見立てられます。カワラタケはカサがほぼ半円形で年輪のような模様があり,瓦状に重なって群生しています。色合いは黒色,灰色,褐色などで,白い縁取りとのコントラストが美しいです。
 肉は堅くて革質のため調理しても食べられないので、採取されず見逃されている場合が多いようです。ただし地方によっては、煮出したものを飲用している場合があります。煮ても焼いても食べられない言われていましたが、近年、役立たずと思われたカワラタケに、制癌効果があるクレスチンという物質が含まれていることが判り、研究の結果、制癌薬がつくられたと言われます。世の中は、わからないものですね。

灰色の層
 

黒色の層
担当者 大田孝子 撮影日 2012.9.29

NO.1

2012.10.2 開設

画像をクリックし拡大してご覧ください。連続して見るには左上の「戻る」を
クリックして戻ってきてください。

キノコは初心者です。名前を間違っているかも知れません。
ご存じの先輩の皆様、誤りをメールで教えてください。

次ページNO.2へ
01 サルノコシカケ類の中の、ツガサルノコシカケ(栂猿の腰掛)

半径約10センチが3層になっています

切り株の裏側にもびっしり付着しています
所在地 横浜市港北区日吉4丁目 慶應日吉キャンパス・まむし谷
科・属 サルノコシカケ科 食用可否 不明
見どころ
 連日の雨で、さぞキノコがたくさん生えているだろうと樹木の多い慶應キャンパスを30分ほど歩きました。が、出合ったのは落葉針葉高木、メタセコイアの古い切り株に生えていたこれだけ。野草は野草園や薬用植物園などに行けば取材できますが、野生キノコ園はありません。キノコは偶然の出合いの産物ですね。
 いわゆるサルノコシカケ類は、普通のキノコは季節が来て生えるのに、この類いは倒木でも生木にも一年中生えます。それだけに大変種類が多く、サルノコシカケ科という和名の科は、暫定的なものだそうです。名の由来は猿が腰をかける椅子のように見えることから。
 サルノコシカケの中で広葉樹のブナノキのほか栃・楢・白樺などに付着するのが「ブナサルノコシカケ」と呼びます。この種の中にココア状の粉を吹く「コフキサルノコシカケ」もあります。北海道や長野の冷涼な気候の針葉樹、ツガ(栂)などに付着するのが「ツガサルノコシカケ」と言います。
 ちなみに正真正銘のブナサルノコシカケの粉砕品ならネット販売価格が500グラム当たり5000円(下の画像)、コフキサルノコシカケの粉砕品が500グラム、10000円(下の画像)で販売されています。
抗がん効果があるのだとか。

ブナサルノコシカケの粉砕品

コフキサルノコシカケの粉砕品
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.9.23
06 柄はすらっと長く白い。ヒダも白い。鶴の首のような、ツルダケ(鶴茸)

傘の周りに条線があるツルタケ
所在地 大田区田園調布1丁目 多摩川台公園
科・属 テングタケ科 食用可否
見どころ  
 数種類のキノコが密集していた一カ所の撮影が終わったので、場所を移し、ベンチで一服しているときでした。目の前は古木の梅ノ木が30本ほどあり、下草も綺麗に刈り込まれている場所です。ふと、10メートルほど先に目をやると、真っ白い傘に、白いすら〜っとした柄のキノコ……。鶴のような白さが緑の中でひと際目立ちます。この鶴茸との偶然の出合い、嬉しかったね〜。写真は夢中で上から撮ったために柄が短く見えます。
 ツルタケは、いろんな林に発生します。傘は約10センチ、灰色で周りに条線(傘の周りの放射線状の筋)があります。ヒダも柄も白く、ツバが無く、スッキリした鶴の首のようです。根元には袋のようなツボが見えます。タマゴタケと並び、テングタケ科の食用キノコの代表格。 ただし生で食べると中毒を起こします。食べる時には十分に熱を通すことだそうです。

上から撮ったので柄が短く見えますが、根元に袋のようなツボが……

白い柄とヒダ
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.2

「きのこのノコちゃん」TOPに戻る

「とうよこ沿線」TOPに戻る

05 一夜で溶けて消えてしまう、ヒトヨタケ(一夜茸)

どこにでも出る、円筒形のヒトヨタケ
所在地 大田区田園調布1丁目 多摩川台公園
科・属 ナヨタケ科ヒトヨタケ属 食用可否 毒。
幼菌は食用可
見どころ  春から秋に広葉樹の枯れ木や埋もれ木などどこにでも発生する腐生菌です。傘は灰色の円筒形で3センチほど、初め卵型ですが、開ききる前に周りから黒くなり、インクを垂らしたように溶けてしまう。
 液化する前の幼菌は食用になり、美味だそうですが、飲酒前後に食べると中毒症状を起こします。ヒトヨタケやササクレヒトヨタケ、ネナガノヒトヨタケ(無毒)などいくつかの近縁種は腐った古畳や藁など、腐敗した植物質によく発生するのを見かけます。
 どこにでも発生するといえば、「銀河鉄道999」で有名になった漫画家・松本零士は若い頃、洗濯しないパンツ(猿股)を押入れに入れたままにしておいたらヒトヨタケが生えてきたそうです。それを彼は「サルマタケ」の名にして自らの漫画作品の題材にしたりしたそうです。

メルヘンの世界……ヒトヨタケの群生  

2012.10.24 筑波実験植物園 石川佐智子撮影
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.2
10 幼菌のときは傘の色が緑色という珍しいきのこ、アイタケ(藍茸)

生長したアイタケは、ヒダは真っ白、柄も真っ白、傘の周囲も白い
所在地 横浜市鶴見区獅子ヶ谷 獅子ヶ谷市民の森
科・属 ベニタケ科ベニタケ属  食用可否 食用
見どころ

傘の表面は中央部が凹み、その周囲に薄い緑色がグラディーションになって残っています
 夏から秋にかけて広葉樹などが多い雑木林には赤いキノコや白いキノコが出ます。特に赤いキノコが多いことから科・属名になっています。なかでも、緑色のキノコは珍しい。
 アイタケは幼菌のうちは、傘の色が可愛い緑色です。生長するにつれ緑が薄くなります。そして傘の外周部、ヒダ、柄は真っ白です。
 アイタケの味はクセのない風味で、汁物にはダシが良く出ますし、バター炒め、グラタンにも合い、好まれています。
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.5
03 コナラとクヌギの落ち葉の中に生えていた、カラカサタケ(唐傘茸)

シイタケのような鱗片(ウロコ)がある
カラカサタケ
所在地 川崎市中原区井田 中原区区民健康の森
科・属 ハラタケ科カラカサタケ属 食用可否 食用可
見どころ

柄はカサの直径の3倍以上の長さ
 上記NO.2と同じ場所で、コナラやクヌギの落ち葉の中に生えていました。
 薄暗く、蚊の大群がいる場所なので採取し、明るい場所で撮影しました。
 ニギリタケ、オシコンボ、キジタケ、ツルタケと呼ばれることも。ヨーロッパ、北米をはじめ分布は世界中に広がっています。日本では林、草地、道端に生え、食べられます。
 カサは卵型からやや中高の扁平に開きます。幼時、褐色から灰褐色。成長すると表皮が破れ、大きな片鱗(いわゆるウロコ)となって同心円状に表面に散らばる。地肌は、微細な片鱗に覆われ淡褐色から淡灰褐色に見えます。 
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.9.28
08 イタリアやポーランドで珍重される、ヤマドリタケモドキ(山鳥茸擬)の一種

最初、落ち葉の中に栗の実が落ちていると勘違いしました
所在地 横浜市港北区師岡町 師岡熊野神社・社叢林(神社の裏山)
科・属 イグチ科ヤマドリタケ属 食用可否 食用
見どころ
 神社裏山の登山道を下山中、「あれ、栗が落ちている?」と立ち止まってよく見ると、どうやら傘が滑らかなキノコらしい。落ち葉の中から掘り起こして採ると、下の写真のようにまだ幼菌ですが柄は太いコン棒状で、中もしっかり詰まっています。
 帰って図鑑で調べると、菅孔(かんこう。傘の裏の無数の小さな穴)が幼菌のうちは白く、生長すると黄色くなるという。食べごろはこの幼菌のころで、肉質がしっかりしていて硬い。イタリア料理やポーランド料理などのヨーロッパ諸国、また中国料理でも珍重される高級食材で有名なポルチーニの仲間のキノコだそうです。

傘も柄もしっかり詰まっていて肉質が硬い
 

柄はコン棒状
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.4
02 傘の中央が淡褐色、ヒダも柄も白い、ツブエノシメジ 別名:アマタケ

倒木の枝先に並んで生えている
ツブエノシメジ
所在地 川崎市中原区井田 中原区区民健康の森
科・属 キシメジ科ザラメノシメジ属 食用可否 食用可
見どころ
台風18号が近づき、蒸し暑い夕方。キノコは水気の多い所に生えているに違いないと湧き水が出ている井田病院の裏山へ。湧水口から少し登った樹木が生い茂る薄暗い所に折重なる古い倒木や枯れ枝。それは楢かクヌギのようです。その一本の枯れ枝の先にベージュ色の綺麗なキノコが2個、並んで生えています。
 さっそくカメラを構え、ピントを合わせていると、両手の手の甲に蚊が何匹も食らい付いている。でも、手を離すこともできず放置したまま、痒さをこらえ、夢中で撮影しました。すぐ近くにもう一種類のキノコを発見! 撮り終えると顔、耳、両手、両脚、掻いても掻いてもその痒みは治まらない。思う存分、蚊の大群にやられてしまったのです。
 傘の直径は5.2センチ、色はベージュ、平らですが不規則に波打っています。中央は薄っすらと黄色みを帯びているのです。ヒダやや密で、傘と同色のベージュ。柄の長さは約4センチ。松や楢の木などの林の地上に点々と、または束生で群生するそうです。夏〜秋、特に雨を好んで発生するようです。
 ツブエノシメジは 風味に多少癖があるため、ごま油やベーコンを使って炒めたり、汁物や鍋物には味噌を使うとよいそうです。

同じくらいの大きさのペア

ヒダの色は傘と同色のベージュ
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.9.28
07 傘は円錐形のチョコレートケーキのような、ガンタケ(雁茸)

コーヒー色の傘に白い付着物がある姿は、まるで砂糖をまぶしたチョコレートケーキのよう
所在地 横浜市港北区師岡町 師岡熊野神社・社叢林(神社の裏山)
科・属 テングタケ科テングタケ属 食用可否 不可
見どころ  
 神社裏山の登山道の両側を目を凝らしながら一歩一歩登り、頂上に着きましたが、収穫ゼロ……。空身で帰るわけにはいかないと、自分を鼓舞して、しばらく落ち葉の上に目をやっていました。と、あった〜〜。落ち葉から7〜8センチ、背を伸ばした“ノコちゃんが2本”仲良く並んで私を手招きしているようでした。
 帰って図鑑で調べると、和名は、色が雁に似ていることから。分布は北半球温帯以北、南米、豪州。夏から秋にカラマツなどの針葉樹林、ブナ、コナラなどの広葉樹林、雑木林に生えています。
 傘は、はじめ球型、成長するにつれ平になります。表皮はコーヒー色で、砂糖か粉状のイボが付着。傘の裏はヒダが密で白色。虫が好むようで虫食いの痕がで きています。柄は中空で、根元が球根状で膨らんでいます。柄の色は白っぽい。
 生では無味、無臭。食べると下痢、吐き気など胃腸系の食中毒を起こすそうですが、加熱すれば可食とする文献もあります。実際に昔は食用としたとか。

5〜6メートル先にもう一本

右端の大きなのは高さ14センチ。根元は球根のようにふくらんでいます
担当者 岩田忠利 撮影日 2012.10.2

2012.10.2〜10.5 掲載10種