『とうよこ沿線』のドアを初めて開けたのは、59年4月1日小雨の降る日。「縁線で愛コーナー」に登場させていただくためでした。
編集長からお話を伺っているうち、私もみんなと一緒に本作りに無性に参加してみたくなりました。しかし不安でした。私の本業は建築の仕事で、本作りとは全く無縁でしたから。
まず最初の活動が22号の配本。駅近くの本屋さんへ行くのはタイヘンです。駐車の場所がどこを探してもなく、何十冊もの本を抱えて汗びっしょり。でも編集室に帰ると、その苦労もすっとんでしまいます。「沿線に集う仲間の気はひとつ」とでもいうのでしょうか、みな個性的で、本当に気の優しい、いい人ばかり、みんなが温かく迎えてくれるのです。
本号「綱島特集」では協賛店探しに歩き回りました。平日は仕事を終えた夜7時半、休日は昼2時、綱島駅前の喫茶店に集合、菅間・田岡・小山さんたちと商店街へ。何軒回っても全然反応がなく、最後の2、3軒でやっと申込書をいただけた時――。その時の感想といったら、ただもう嬉しくって、嬉しくって……。
おかげさまでいろーんな店に、いろーんな人に会いました。今では『とうよこ沿線』は、私にとって本業以外に挑戦できる唯一のもの、掛け替えのないものです。
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